講談社文芸文庫
恋ごころ―里見〓短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900577
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

十四歳の夏休みに、養家の盛岡を訪れ、そこで知った親戚の少女に淡い恋心を抱いた思い出を語る表題作。家を出て、大阪での芸者との恋愛・結婚の経緯を清新に描いた「妻を買う経験」等、自伝とフィクションを綯い交ぜに、流暢な文体と精妙な会話で、人の心の機微を巧みに描いた名作五篇を収録。明治、大正、昭和の文芸界を悠々と生き抜いた「馬鹿正直」で「一徹」で「涙脆い」、白樺派最後の文士・里見〓の真骨頂。

著者等紹介

里見〓[サトミトン]
1888・7・14~1983・1・21。小説家。横浜市生まれ。本名=山内英夫。学習院を経て、東京帝国大学文科英文科中退。有島武郎、生馬は実兄。1910年「白樺」の創刊に参加。16年最初の短篇集『善心悪心』で文名を確立。19年には吉井勇、久米正雄らと「人間」を創刊。47年日本芸術院会員となり、59年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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fseigojp

19
小説の小さんと言われる人です 吉原炎上の話は臨場感あり 妻を買う話 もう少し配慮のある題にはできんかったのかとも。。。。2015/09/15

田氏

17
昔は良さがわからなかったもののうち、今になって考えが変わったものがどれだけあるだろうか。山歩きに武道に酒。珍味はいまだに苦手で、いつかその滋味がわかる日がくるだろうか、と思いつつ、いまだに以てその域に達することができないでいる。明治~大正の文学に対しても、そのような苦手意識がある。とりわけ、読み取る側にも「粋」が求められる花柳文学などはその極みで、本書をまず解説から開いてその字をみつけたときは途方に暮れた。それでも我慢して噛み続けていると、たしかに旨味が出てくる。いつかこの旨味を違う目で味わえるだろうか。2020/05/28

きょちょ

9
白樺派の一人。 彼の作品は初読。 表題作が一番好み。 当時から自覚していたのではなく、「今から思うとあれが初恋かな」と回想するのが、何とも言えぬ味わいがあるし、物語としても実に素晴らしい。 そして、リズミカルな文体には驚いた!  次に「縁談窶(やつれ)」、特に後半の鎌倉の場面は素敵だし、主人公の老人の回想が可愛らしい。 「大火」は、大事件をまじかに見た人間がその経験で少し天狗になることへの嘲笑の話かと思ったが、この作品も「妻を買う経験」と同様、最後はほのぼのとした結末になるのは予想外。 ★★★★2016/02/02

amanon

5
なぜこの作家をこれまでスルーしてきたのか?ついそんなことを思わされた。端正で品格のある文章。特に技巧を凝らしたとも思えない、何気ない表現が妙にグッとくること数知れず。また会話文にも独特の躍動感があり、つい引き込まれてしまう。ストーリーの構成も卓抜しているし、今日あまりに顧みられることのない感があるのが、不思議でしょうがない。個人的にとりわけ印象深かったのは「やぶれ太鼓」か。人好きのする性格であり、潜在能力も決して低くはないのに、怠惰な性格が災いして、今一歩のところで尻すぼみになる。それはそれで人生か。2022/11/01

きりぱい

5
「妻を買う経験」と「縁談窶」がよかった。妻を買うと言っても、相手が芸者で借金が付いてくるのに、その額いかんによって結婚を許すの許さないのと、もう買うも同然というような意味合い。道義だの何だのと引かない昌造の青さが苦々しく、世知に長け尽力に乗り出した内藤のはっきりした気性がいい。後者は、母親の干渉で縁談を断り続け、若い身空で快活さを失くしてゆく娘と、相談に乗る小父さんの励ましどころがいきおい想像たくましくなったり、会話のテンポの良さでも面白い。昔は放蕩で鳴らした男たち。片方のラストは温かく、片方は寂しい。2012/12/01

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