講談社文庫
追跡・「夕張」問題―財政破綻と再起への苦闘

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  • サイズ 文庫判/ページ数 430p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062763394
  • NDC分類 349.211
  • Cコード C0133

内容説明

地方財政制度の間隙を衝き「隠れ借金」を重ねた夕張市。気づいたときにはもはや手遅れの状況に陥っていた。事態を黙認してきた道や総務省、みずからの儲けを優先し過剰な融資を続けた銀行。「わが町」の破綻がもたらす苛酷な現実をレポートし、地方自治体の抱えこむ矛盾と課題を摘出する。

目次

序章 底なしの衝撃
第1章 財政再建団体
第2章 もがきつづけた「炭都」
第3章 長く、遠い道へ
第4章 メロンと映画
第5章 去るも地獄、残るも地獄
第6章 国の管理下に
第7章 清算と再生
第8章 新市長誕生
終章 まだ見えぬ答え

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アメヲトコ

8
道新の取材班が夕張市の破綻問題の経緯について、2006年~2008年の動きを中心にまとめた一冊。炭鉱の閉山などは気の毒な面もあるものの、その後のバブルの乱開発や粉飾決算にいたっては唖然とするばかり。三セクの放漫経営や怪しげなコンサルの跋扈は他地域にもあるような。しかし再建計画を立てる前提となる将来人口予測で、最も楽観的な予測の数字を採用してしまうあたり、道は険しそうな気がしてなりません。2018/08/11

さっと

7
今春、岩見沢市の東にかつてあった万字炭山行きの国鉄・万字線跡をめぐったあと、そのままなんとなく峠を越えて、その先にある夕張市のリニューアルオープンした石炭博物館に行って、バブル期のハコモノ行政の負の遺産を目の当たりにして愕然とした。夕張市の財政破綻、再建団体表明は当時ニュースを独占したけれど、現地に行ってみると、どこに行っても廃墟と立入禁止鉄柵の連続でどういう行政をしたらこんなことになるのか見当もつかない。国のエネルギー政策の転換とか、北炭撤退の負債の処理とかは一面にすぎない。炭鉱から観光へ。狂気の沙汰。2018/09/10

sasha

5
不正会計が発覚し財政再建団体に転落した北海道夕張市。炭鉱閉鎖位による負の遺産と、炭鉱から観光への転換の際の無理が徐々に財政を破たんさせたか。夕張市自体に勿論責任はあるが、見て見ぬふりをして来た北海道と国にも責任はあるのではないか。夕張市は見せしめにされたのかもな。2019/08/02

富士さん

3
失礼ながら、すべてを炭鉱産業に依存していた体質から抜け出せず、安易に観光業に進出し、公共団体ということをいいことに無責任に借金を繰り返して勝手に自滅した夕張市、というイメージが覆りました。むしろ無責任なのは民間企業の方で、炭鉱業と観光業というふたつのバブルに乗っかって規模を拡大した挙句、調子が悪くなるとさっさと撤退し、尻拭いは逃げられない市にさせてきた。観光に舵を切った中田市長が、中小企業の社長よろしく債務の個人保証をしていたというのは衝撃でした。無責任な公というイメージは安易な理解だったと思います。2023/03/13

Ikuto Nagura

3
借金で借金を返すジャンプ方式、公営企業を通じた長期借入などのヤミ起債。自転車操業で負債が膨らむ様は、倒産企業や多重債務者のよう。そのつけを「最高の負担と最低のサービス」で払わされるのは、現在と未来の市民たち。北海道新聞の取材で浮かぶ夕張の未来は、とてつもなく重くて暗い…。大資本に炭鉱を食い荒らされ、民活の名でレジャー開発を煽られた末に、国に頼らず地域で何とかしろという解決策が正しいのか。産廃処理や核廃棄物貯蔵施設の誘致を考えるほど追い込まれた再生は、経済的徴兵制を連想させる。これは夕張だけの未来じゃない。2015/12/10

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