講談社文庫<br> 野川

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講談社文庫
野川

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  • サイズ 文庫判/ページ数 365p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062758253
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

急逝した友人の一周忌近く、故人からの遺贈として届いた一枚の絵地図。友人が好んだ野川の散歩道を描いた絵の片隅で、大人が子供の手を引いていた。それは子を妊った娘の未来像か、東京大空襲の翌朝に母親と歩いた荒川土手の風景か―。はるか時空を往還し、生と死のエロスの根源に迫る、古井文学の到達点。

著者等紹介

古井由吉[フルイヨシキチ]
1937年東京生まれ。東京大学文学部独文科修士課程修了。’71年「杳子」で芥川賞、’80年『栖』で日本文学大賞、’83年『槿』で谷崎潤一郎賞、’87年「中山坂」で川端康成文学賞、’90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、’97年『白髪の唄』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kei302

36
追悼読書|「野川」と言えば長野まゆみだ。いや、「我らが少女A」と《はけ》。だから借りてきた「野川」。競馬がお好きだったそうで(今朝のラジオで高橋源一郎さんが言っていた)年末の中山競馬場の記憶から始まる。住まいは野川沿い。生者と死者、終戦前後の描写と内面の思考が濃厚に描かれている。冒頭の2話まではちょっと読みにくかったが、背中の話と眼の手術の話あたりからは世界観が変わって読みやすかった。生涯現役作家だった古井由吉氏を偲びつつ、粛々と読む。2020/02/28

KI

30
生の背後に取り残された時間に思いを馳せたときに訪れる、静かで危ういせせらぎの音。2019/08/07

k5

23
「わたしは死んでいるとは、そう言うわたしも無いはずなので、いよいよ難題である」文章のひとつひとつがエピソードとなり、段落のひとつが一本の小説を形成する。そう感じられるほどの密度の作品。内山のエロスとタナトスの物語はいつもの古井節なのですが、井斐の物語の多面性が圧倒的な素晴らしさで、いつかポエミーな感想ではなく、正しい批評の言葉でこの魅力を語りたい、と思ったまま十五年くらい経っていますか。。。初めて読んだ時は三鷹に住んでいて、野川公園が近くでした。作中でも固有名詞の野川とイメージの野川がすれ違います。2020/03/07

ソングライン

17
60半ばとなった主人公が経験する友人の死とそれに関わる回想が綴られます。高校生の時に知り合い、深い友情はなかったがその後、初老の今迄、数年に一度の会合を重ねていた友。死期がせまり、もう会えないと感じた友が主人公に残した1枚の自分の通夜の場所への案内図。そこには、野川が描かれその土手には幼子と歩く大人が描かれていました。それは、戦火を逃げる母親と自分か、それとも自分とこれから生まれてくるだろう孫だったのか。次第に過去と現在の隔たりがなくなっていく作者の精神世界にしばしひたりました。2020/10/21

Yusuke Oga

9
生きている著者はもちろん「死」について外側からしか書くことが出来ないのは当然だが、これは死を「内側」から描くことに限りなく接近した小説なのではないかと感じた。2018/05/07

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