講談社選書メチエ<br> 母親の孤独から回復する―虐待のグループワーク実践に学ぶ

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講談社選書メチエ
母親の孤独から回復する―虐待のグループワーク実践に学ぶ

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  • サイズ B6判/ページ数 144p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062586658
  • NDC分類 369.4
  • Cコード C0311

出版社内容情報

気づいたら子どもを叩いてしまう……。自分でも気づかずにいる不安と孤独。独りから始めて、自分を取り戻すためのヒントを贈る。子どもに対する「虐待」についての児童相談所への相談件数は、現在10万件を越えています。1万件を越えたのが1999年のことですから、急激な増加を見せていることに疑いはありません。相談されず、表に出てこないケースを含めれば、その数はさらに増えることでしょう。
子どもを叩いてしまう母親は、なぜ増えているのでしょうか?
なぜ彼女たちは、子どもを叩いてしまうのでしょうか?
気づいたら叩いてしまう。叩いてしまう自分を抑えられない……。中には、エスカレートして、子どもを死に至らしめてしまう場合すら起きています。
そんな母親には、自分自身が子どもだった頃に母親に叩かれた恐怖、そこから生まれた孤立感があることがめずらしくありません。そのことに気づかぬまま、気づいたら自分も子どもを叩くようになってしまっているのです。
──本書は、そんな孤独の中で苦しんでいる母親たちのために書かれました。
2001年に森田ゆり氏の考案で開始された「MY TREE ペアレンツ・プログラム」のグループワーク実践を例にとり、「子どもを虐待してしまう親の回復のためのプログラム」がどのように働き、どのような成果をもたらしているのかを描き、どうすれば孤独から回復できるのかを探ります。このようなプログラムに関心をもてない人、関心を抱いても参加する勇気がない人にとっても、ここには貴重なヒントがたくさん含まれているはずです。
「虐待」の連鎖を止め、自分を取り戻す道は、「独り」から始まります。
「独り」でいるあなたに、本書は語りかけたいと思っています。

【主な内容】
はじめに 独りから始まる──虐待とその背景
第1章 虐待渦中にある親の背景と回復への道のり
第2章 環境づくりと体のまとまり──回復のための空間
第3章 自分とのつながりと子どもとのつながりを作るワーク
第4章 声の響き合い──自分を語ること
第5章 プログラムを終えて──つながりの記憶
結 論 独りから始まるつながりと回復

はじめに 独りから始まる──虐待とその背景
第1章 虐待渦中にある親の背景と回復への道のり
第2章 環境づくりと体のまとまり──回復のための空間
第3章 自分とのつながりと子どもとのつながりを作るワーク
第4章 声の響き合い──自分を語ること
第5章 プログラムを終えて──つながりの記憶
結 論 独りから始まるつながりと回復

文献一覧
あとがき


村上 靖彦[ムラカミ ヤスヒコ]
著・文・その他

内容説明

私は子どもをきちんと育てられているのだろうか…なぜ自分の子どもなのに苛立ってしまうのだろう…誰にも相談できず、つい子どもを叩きたくなってしまう…―子どもへの虐待の児童相談所への相談件数は現在、一〇万件を超えています。なぜ子どもを叩いてしまうのでしょう?母親の奥底には、恐怖や不安、孤立感があります。本書は、そんな孤独の中で悩む母親のために書かれました。自分を取り戻す道は「独り」から始まります。

目次

はじめに 独りから始まる―虐待とその背景
第1章 虐待渦中にある親の背景と回復への道のり
第2章 環境づくりと体のまとまり―回復のための空間
第3章 自分とのつながりと子どもとのつながりを作るワーク
第4章 声の響き合い―自分を語ること
第5章 プログラムを終えて―つながりの記憶
結論 独りから始まるつながりと回復

著者等紹介

村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
1970年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程満期退学。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第七大学)。大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は、現象学、現象学的な質的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ポカホンタス

6
すばらしい内容。虐待のグループワークの様子が、淡々とした筆致で記述される。情緒に訴える部分は少なく、グループワーク参加者たちの語りを中心に、彼らの体験している世界の構造を描出することが目指される。激しく厳しい虐待の現実に対して周囲はどうしても過剰に反応してしまいがちになるが、それによって目を曇らせないような、静寂の場所から記述されている。しかし冷たい記述ではない。記述によるホールディング、とでも言えそうな息遣いがある。文章それ自体がひとつのワークとなっていて、読むたびに発見がある。2017/11/23

saiikitogohu

1
「三人目のXさんが性被害を語ったことがきっかけとなって、…重篤な虐待の被害をめぐる語りが何人かの口から続けて語られた回だった。…ファシリテーターのゆうこさんは次のように…『Xさんのお話も、ほんとに今までたどってきたことをみんなに聴いてもらえるって信頼して言ってくださっていますよね…みんなで力を蓄えていこうね』大事なことは理不尽な生活環境とDVや性被害に関わる内容をグループの中で受け止められるものとして聴き届け、かつグループのメンバー全員によるホールディングによって支えられるようにコメントすること」(47)2018/10/25

綾紗

1
虐待をする母親は、孤独であったり生活に不安があったりなどの問題を抱えている場合が多く、自らも虐待を受けていた過去を抱えている例も少なくない。そんな母親たちが、それぞれ完全匿名制のグループワークに通って、自らの痛みを吐き出し、向き合い、相手の話をただ聴いて受け止める事で状況の回復をはかる。グループワークと言う手段で虐待を打開する事を検討している人には、こう言うグループもあり、グループワークで吐き出す事や受け止め受け止められる利点を詳しく紹介してあるので参考になると思う。語り口調は若干読みづらさがある。2018/05/13

takuyak56

0
筆者の前作にも感じたが、当事者たち自身の声、語りの強さに胸を打たれる。これに対し、あえてそうしているのだろうが、筆者の声(理論)はシンプルである。「偶然の出来事をポジティブなチャンスとして受けとめて状況の変化につなげる力」(110)を誰もが潜在的に持っている。これが身体感覚を変化させ、他者関係を変化させる。これを自己から外部に向けて水平に広がる力だとすると、筆者は、結論部の最終2頁において、母親と子どものあいだにあるいわば「垂直」の力に気付く。この論点は筆者の今後の理論的軸になるかと思う。2018/06/20

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