出版社内容情報
イラクもアフガンも、泥沼。世界の民主化、テロ撲滅を唱え、最強の軍事力を誇る超大国アメリカは、どこで間違い、力で劣るはずのイスラムに敗れつづけるのか。イスラエル偏重の米国内の政策決定、自国の国益を優先し強権政治やゲリラを支援に突っ走る矛盾、イスラムの文化伝統への無知……。こんなアメリカに追随する日本は危うい。博学の中東研究専門家が圧巻の現地取材を踏まえ、超大国「敗北の原因」を徹底分析。
内容説明
アメリカの「正義」と、イスラムの「大義」―。なぜ超大国アメリカは、イスラムで失敗しつづけるのか。近現代史を遡り、現地を踏査し、民衆に分け入り、その衝突の淵源を探る。浮かび上がるのは、アメリカ敗北の法則…。
目次
第1章 対テロ戦争でイスラムに敗れたアメリカ
第2章 アメリカ・イスラム関係の歴史的発展
第3章 アメリカと「イスラム原理主義」との遭遇
第4章 冷戦後の対テロ戦争の予兆
第5章 アメリカと中東民主化
第6章 アメリカが強調するイランの「核兵器製造」
第7章 アメリカとイスラムの永続する戦争
著者等紹介
宮田律[ミヤタオサム]
1955年、山梨県生まれ。静岡県立大学国際関係学部准教授。専門は、イスラム政治史、国際政治。慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
25
イラク戦争に至るまでのアメリカとムスリム国との関係など、わかりやすく書いてある。イスラム政治史が専門の先生ということもあってか、アメリカの政策に批判的で、軍事的・経済的に制裁を加えることで、却ってテロリストを育てる土壌が拡大してしまっていると厳しく指摘している。人種的、歴史的、宗教的な背景が根深く、何より人の心の問題(差別、信仰)が大きいであろうだけに、ひどくこじれ、困難な状態になってしまっている。文中にあるように、アメリカは中東の貧しい国々に対しての経済的支援はあまり行っていないように見えるのも問題。2014/06/26
Humbaba
1
アメリカの戦力は他の追随を許さないほど絶対的なものである.しかし,それは戦争に勝てることを保証するものではない.現に,イスラムに対してアメリカは敗北している.アメリカに正義があるとすれば,イスラムにはそれに対向する大義が存在する.2010/09/21
Humbaba
1
イスラムにとって、アメリカは好意的に評価できる国ではない。アメリカ人がそのことを理解していないからこそこの負の連鎖は続く。2010/02/14