岩波現代文庫
アイヒマン調書―ホロコーストを可能にした男

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 448p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006003678
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C0122

出版社内容情報

ナチスによるユダヤ人殺戮のキーマン、アイヒマン。八カ月、二七五時間にわたる尋問調書から浮かび上がるその人間像とは?

内容説明

ナチスによるユダヤ人殺戮のキーマン、親衛隊中佐アドルフ・アイヒマン。戦後アルゼンチンに逃亡していた彼を、一九六〇年にイスラエルの情報機関モサドが拘束。全世界が注目するアイヒマン裁判の準備にあたり、イスラエル警察によって八カ月、二七五時間にわたる尋問が行われた。自らの父親も殺戮の犠牲者である尋問官との、迫真の駆け引きから浮かび上がるアイヒマンの人間像とは?歴史の事実と将来のあらゆる可能性を直視し、「悪の凡庸さ」を超えて、人間存在の理解を深める必須史料。

目次

第1部 親衛隊員番号45326
第2部 追放・移送・抹殺
第3部 強制収容所との関係
第4部 最終解決
第5部 ハンガリー作戦
第6部 終戦から逃亡へ

著者等紹介

ラング,ヨッヘン・フォン[ラング,ヨッヘンフォン] [Lang,Jochen von]
1925‐2003年。ドイツ・ベルリン生まれ。雑誌『シュテルン』現代史編集局に勤務。現代史シリーズ『ヒトラー帝国最後の一〇〇日』『われわれと同じ殺人者』で知られる

小俣和一郎[オマタワイチロウ]
1950年東京都生まれ。精神科医、精神医学史家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

30
ホロコーストを可能にするのに彼が果たした役割がいかに大きかったか。それを単に理解していないのか、それともしらばっくれているだけなのか。決定的な証拠を突き付けられても、自分は移送のみを担当し、命令に忠実に従っただけで、アウシュヴィッツで起きたことは管轄外で一人のユダヤ人も殺していないと、ひたすら責任を回避し続けている。当時は虎の威を借る狐のように、各地で傲慢に振る舞っていたであろうことは想像に難くないのだが。「凡庸な悪」を思わざるを得ないその肉声に触れ、ナチスの官僚主義を知る意味でも一読に値する一冊と思う。2022/04/17

金吾

24
ドイツ民族の犯罪性(ナチの単独犯罪ではないと考えます)、信念なく恐ろしいことが出来る平凡な人間等を垣間見るに大変いい資料だと思います。特に後者は人間が権力を握ると誰しもがアイヒマンになる可能性があることを考えさせられました。2021/01/17

塩崎ツトム

15
アドルフ・アイヒマンは厚顔無恥で、典型的な権力志向の人間で、信用ならない官僚で、それはきっと、多少なりとも社会性を持つぼくら一人一人の分身なのでもある。ぼくも仕事の中で「それはわたしが来る前からそうでした」と責任逃れをしたことがある以上、未来のアイヒマン候補の一人なわけだ。2017/09/27

tsubomi

9
2018.06.11-12.08:名前は聞いたことがあったけれど彼が具体的に何をした人なのかは知らなかったので読んでみました。ユダヤ人大量移送の責任者となったアイヒマンが戦後南米に逃れたのち、最終的に拘束されてイスラエルで裁判にかけられたときの尋問の記録。周囲の人間の証言から彼の業務内容や責任の重さは判明しているのに、「知りません/記憶にありません/上からの命令で私の責任じゃありません」という言葉を繰り返し、質問をはぐらかす態度が一貫していてイライラさせられます。(つづく) 2018/12/08

駄目男

7
何の犯罪歴もない普通の教育を受けた一般市民が時代の変化と指導者に魅了されることによって非人間的な人物に成り得るのかという見本である。時代の変革にあたって条件が整えば我々一般人もアイヒマンのようになる可能性があるかという問題に尽きることになるが、詰まる所、本書はそのような問題定義をごく普通の庶民に問いかけているのかも知れない。いざ、有事になった場合、自分だけは人間的良心に従って行動できるのか?アイヒマンがいくら任務だった、命令だった、逆らえなかった、移送だけだったと答弁しても彼の犯した罪はあまりにも桁外れ。2018/05/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12173467
  • ご注意事項

最近チェックした商品