出版社内容情報
西田哲学は,初期から晩年まで,様々な独自の概念(純粋経験,絶対無,場所の論理など)を使用して変化発展したとされている.本書は,その思想が,終始一貫して「宗教的自覚」の論理化をテーマとしたとする著者の観点からまとめられた西田論である.西田の概念語に即した厳密な解釈と比較思想の観点から,西田哲学の特色がより明確に論じられている.
内容説明
純粋経験、自覚、場所、絶対無、行為的直観、絶対矛盾的自己同一、逆対応など、各々の時期に様々な独特の用語を使用して変化・発展していった難解な西田の思想が、終始一貫して「宗教的自覚」の論理化をテーマとしたとする著者の独自の観点からまとめられた西田論である。また、比較思想の観点から、スピノザ、道元、ブーバーの思想と比較・対照して西田哲学の特色がより明確にされる。
目次
第1章 西田哲学の基層
第2章 純粋経験とは何か
第3章 自覚と絶対無
第4章 場所の論理と行為的直観
第5章 宗教的自覚の論理―スピノザ主義と西田主義
第6章 道元と西田幾多郎―日本哲学の特性
第7章 私と汝―西田幾多郎とマルティン・ブーバー
著者等紹介
小坂国継[コサカクニツグ]
1943年、中国張家口生まれ。1971年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。宗教哲学・近代日本思想史専攻。日本大学大学院総合社会情報研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山名
1
一見、時期によって言っていることがバラバラに見える西田の思想体系を、広い視野から綜合的に西田哲学として読者に提示してくれている。筆者の新しい角度からの分析が興味深く、自分を西田哲学のとりこにさせてくれた。スピノザやブーバーとの比較考察も勿論ではあるが、中盤以降から度々指摘される西田の場所的弁証法とヘーゲル・マルクスの弁証法との対立構造(これは中村雄二郎が30年前に既に指摘しているが)、これの克服は哲学における課題となるのだろうし、我々日本人(このように括る事に対して抵抗が全く無い訳では無いが)としても、西2013/02/21
スミレ雲
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京都学派、今少しブームの兆しが。
鯨、或は山田
0
西田哲学の大家による、だいたい最新のまとまった論文。前半は、『善の研究』から百年経って改めて西田哲学を論じる内容で、後半はスピノザ、道元、ブーバーと、比較的近い位置にある思想家との比較という、なかなか意欲的な物。ある程度の知識が前提とされているが、特に第三章には力を感じた。2012/02/20