出版社内容情報
水道の基本知識,「民営化」の懸念材料,小規模自治体でも持続可能な実践例などを,わかりやすく説明.
内容説明
安心・安全・安価な水―。水道水の「当たり前」は、もう通用しないかもしれない。水道管は老朽化し、人口は減少。対策として民間企業の水道事業参入が可能な水道法改正がなされたが、どうなるのか。水道の基本知識、「民営化」のしくみと懸念材料、小規模自治体でも持続可能な実践例などを、わかりやすく説明。生活に欠かせない水道の未来のための、市民・自治体双方に役立つハンドブック。
目次
第1章 水道は大きな曲がり角―現状と法整備
第2章 水道法の改正で何が変わるか―コンセッション方式とは
第3章 水道再公営化に向かう世界―イギリス、フランスの場合
第4章 小さな自治体でもできること―さまざまな選択肢
第5章 新時代のまちと水道―市民参加の現場から
第6章 「水点」からの発想―少数居住地域でも柔軟に
著者等紹介
橋本淳司[ハシモトジュンジ]
1967年群馬県生まれ。学習院大学卒業。水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表。水と人の未来を語るWEBマガジンaqua‐sphere編集長。現在、NPO法人ウォーターエイドジャパン理事、NPO法人地域水道支援センター理事、水循環基本法フォローアップ委員会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ましゃ
37
水道事業の三つの問題 ①節水技術が進んだ事により使用水量が減って施設の効率が悪い ②施設老朽化 ③役所職員の人員削減による水道職員の減少。自治体によって人口の増減は変わるため、民営化が必要なのはわかる。が、国や議員が主導して水道民営化を推進している事がどうも納得いかない。民営化が失敗した時の代償はかなり大きい。再公営化する事になっても莫大な費用がかかる。そんな中ダウンサイジング(施設を減らし、小さくすること)の考えは良いと思う。自治体が知恵を絞り施設を減らし使う施設を選ぶという判断をする事は大事だと思う。2019/09/08
coolflat
19
水道法改正、主にコンセッションの問題について解説している。コンセッションとは、公共事業の民間委譲のことである。2018年の水道法改正によって、水道事業のコンセッションが可能となり、企業は水道事業に参入しやすくなった。コンセッション方式と、以前からあった業務委託を比べると、決定的に違うのは、お金の流れと責任の所在だ。前者の場合、運営責任は自治体にある。水道料金は自治体に入り、自治体から委託先の企業に支払われる。それに対し後者の場合、実質的な運営責任は民間企業に移る。そして水道料金はそのまま企業に入る。2020/07/23
syuu0822
7
水道設備の老朽化や民営化の話はちらほらと聞いていましたが、詳しくは知らなかったので勉強のために購入。ページ数は比較的少ないながらも、最近の水道設備事情や法制度、さらには地方自治体の具体的な取り組みと、マクロからミクロまで記載がされており、無知な私でも大体のことは理解できました。最近の水道事情を勉強したい方にはまず初めの1冊としてよいのではないでしょうか。2021/12/02
noranecocats
4
2018年の水道法改正で、水道事業のコンセッション(自治体が施設所有/民間が運営)が可能になった。しかし水道料金の高騰や監査の不備等の問題が生じたため、世界的には再公営化に向かっている。広域化とダウンサイジングなど、小さな自治体でも取れる選択肢は他にもある。現状とデータを踏まえながら、市民の声を反映させつつ考えていく必要がある。2019/09/25
Snowflake
3
図書館。冊子ですぐ読める。民営化については理解あまりできず。民営化すると、利用者が自治体に水道料金を払い、自治体が民間に業務委託する形から、利用者が民間に水道料金を払い、自治体は民間企業を管理する形になる、とのことだが。自治体の一時的な財政負担が減らせるメリットしかない気がした。著者が民営化に反対の立場。人口減や水洗トイレに要する水が減るなど技術向上による水使用料減、設備の老朽化、専門職員の減が大きな主要問題と。社会インフラ全てに共通する問題。2020/08/28