出版社内容情報
情報化やグローバリゼーションは、人々の場所性/時間性を喪失させつつある。こうした喪失によって欲望される居場所とは、どのようなものか。私たちが「いま・ここ」で見失っている「見当識」はいかに取り戻せるか。〈ノスタルジア〉と〈ユートピア〉という主題の歴史と現在の変奏として分析し、考察する。【解説:奥村 隆】
内容説明
渦巻や塹壕のような“いま・ここ”の少し先へ、少し外側へ。情報化やグローバリゼーションは、人々の場所性/時間性を喪失させつつある。私たちが「いま・ここ」で見失っている「見当識」はいかに取り戻せるか。ノスタルジアとユートピアという主題から考える。
目次
序章 〈一〉と〈二〉、あるいは〈一〉ではないもの
第1章 時間と空間の地形学(トポグラフィー)
第2章 〈あること〉と〈あるべきこと〉
第3章 〈他の空間〉から〈他の時間〉へ
第4章 〈進歩〉の中のユートピアとノスタルジア
第5章 〈一〉になった世界
結章 再び〈二〉または〈多〉である世界へ
解説(奥村隆)―失われた見当識(オリエンテーション)を求めて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
6
未来にも過去にも切り離され、「いま・ここ」という現在性の牢獄に閉じ込められた我々の社会。われわれには「いま・ここ」しかないので絶望の国でも幸福さを糧に生きざるを得ない。過去は現在から見たうえで到達できない断絶した歴史として知覚され、未来は災禍を産むリスクとして現在を突き放す。かくして「どこにもない場所」という意味だったユートピアは、「ここにいることしかできない」という矛盾した様態として現在化される。再びわれわれの社会が「ここではないどこか」への想像力を持ちうるための一歩は、こうした考察から準備されうる。2023/08/28
Go Extreme
1
〈一〉と〈二〉、あるいは〈一〉ではないもの: 時間としての世界、空間としての世界 過去と未来の現実性 不可能性の時代? 主題と変奏 時間と空間の地形学(トポグラフィー): 動物から見た世界 人間の見る世界 社会・時間の地形 時間の空間性 〈あること〉と〈あるべきこと〉 〈他の空間〉から〈他の時間〉へ: 楽園へのノスタルジア、永遠へのノスタルジア ユートピアへのノスタルジア 〈進歩〉の中のユートピアとノスタルジア: ユートピアの精神・系譜 危機の時代と生きられる時間 進歩が世界を支配する 〈一〉になった世界2022/05/13