内容説明
20世紀を代表する思想家の1人ケインズは、経済、政治の分野のみならず、哲学、文化の領域でも幅広く活動した。ケインズの性格、価値観、ものの考え方、さらにその文化的・社会的背景等を具体的に解き明かすとともに、彼が提唱した政策から一般理論に至るまで、バランスよく描き出した好著。世界同時不況のなかで、いまあらためて注目を集めるケインズ経済思想の核心を浮き彫りにする。
目次
序章 その人間像・経済学者像
第1章 その生涯
第2章 ケインズの行為の哲学
第3章 貨幣改革論者
第4章 『一般理論』
第5章 経済政策勧告者としての資質
第6章 ケインズの遺産
感想・レビュー
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masabi
10
【概要】ケインズの生涯、思想、遺産を解説する。【感想】類書ではケインズが確率論から経済学、投機へと領域を広げていったとあるが、なぜ確率論に関心を抱いたか。それには大学時代のムーアの倫理学の影響が大きいという。また、エドマンド・バーグにも影響を受け、不確実性と便宜主義というケインズの基本思想ができあがっている。60年代までの経済的繁栄にケインズ的政策は寄与せず、むしろ時代の巡り合わせに多くを負っているなど、ケインズの哲学を深掘りし、しかし、礼讚ではないバランスの取れた記述である。2020/07/02