世界歴史選書
海のかなたのローマ帝国―古代ローマとブリテン島 (増補新版)

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  • サイズ B6判/ページ数 259,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000268608
  • NDC分類 232
  • Cコード C0322

内容説明

ローマ帝国の降盛を象徴する「ハドリアヌスの長城」から、兵士たちの日常生活を活写する「ウィンドランダ木版文書」にいたるまで、イギリスにはローマ時代の遺跡・遺物が多数現存する。地中海世界に発したローマ人は、なぜこの僻遠の地にまで進出したのか。そこでの支配の実態とはいかなるものであったのか。最北端から「帝国」を、さらには「帝国」を見つめる私たちの歴史観をも問い直し、多くの議論を喚起した旧著に、新稿「ローマ帝国支配後半期のブリテン島」を増補。

目次

序章 なぜローマン・ブリテンか
第1章 ローマ帝国と大英帝国
第2章 海峡を越えたローマ人―ローマ人の見た古代ブリテン
第3章 征服と支配―女王ボウディッカの反乱と歴史家タキトゥス
第4章 属州ブリタンニアと「ローマ化」―ブリテン島はローマ帝国であったか
第5章 北辺のローマ帝国―辺境要塞兵士の残した木板文書を読む
終章 海のかなたのローマ帝国
補論 ローマ帝国支配後半期のブリテン島

著者等紹介

南川高志[ミナミカワタカシ]
1955年生。古代ローマ史。現在、京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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サアベドラ

18
約10年前(2003年)に刊行された、ローマ属州時代のブリテン島史を扱った単著の増補版。旧版では省略された属州時代末期、すなわち4世紀~5世紀の流れを扱った約30ページの補論が追加されている。著者は京大教授。旧版刊行当時と違い、現在は当該時代を扱った日本語の書物が増えてきている(ピーター・サルウェイの概説書、オックスフォードブリテン諸島史1巻と2巻など)が、辺境からローマ帝国を見るという本書の視座の重要性は変わらず、本書がローマ属州研究において第一に読まれるべき文献であることも不変であろう。2016/12/10

MUNEKAZ

12
ローマ帝国時代のブリテン島を扱った一冊。大英帝国時代の歴史家が称揚した「文明化の進展」を否定しつつも、戦後の考古学者ほどそれをラディカルに捉えない立場で「ローマ化」の実態を検証している。タイトルが秀逸で、ローマ側、ブリテン側どちらもお互いに遠い彼方の存在であり、近代国家のような確かな支配や一体性があるわけではない古代帝国の辺境の様子をよく表している。補論にあるように劇的でない、自然消滅に近いようなブリテン島の帝国からの離脱も、属州支配の曖昧さを考えれば納得がいく。2018/01/23

ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね

4
サトクリフのローマン・ブリテン物を読むに、あまりにもこちらの知識が足りないと思って副読本として読んだ。えっらい勉強になった。近代以降の英国人が、ローマをどう捉えてきたかという認識論が特に面白い。ほとんどきれいさっぱりローマの痕跡は消えてしまっているが、ブリテンにとってローマは、文明ではなく、軍隊だったということなのだろうな。あとでもう一回読み直そう。2023/03/23

ピオリーヌ

2
古代ローマの辺境ともいえる、ブリテン島からローマ帝国を見つめた書。やはり南川先生の本は勉強になる。2018/09/15

Book shelf

1
ブリテン島がローマ帝国に組み込まれたのは43年頃だとされています。テーマは「ローマ化」。ブリテン島では「ローマ化」はどう進んだのか?本書のメインテーマは中盤以降ようやく語られるようになってきますが、ローマ帝国中心部から遠く離れた海のかなたのローマ帝国・ローマン・ブリテンは、地中海や大陸でのローマ化の様相とは異なっていたということがよく分かります。2017/03/31

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