出版社内容情報
法律家以外の刑事裁判の「担い手」たちの役割も見ながら、専門家と国民との役割分担を問う。
内容説明
今日の日本の刑事司法はどのような人たちが動かしているのか。そして、もしも被疑者や裁判員になったら、どのような経験をするのか。警察官、検察官、裁判官、弁護士はもとより、被疑者・被告人、裁判員、通訳、鑑定人、ジャーナリストなど法律家以外の担い手の役割も見ながら、専門家と非専門家との役割分担を考える。
目次
1 刑事裁判の当事者たち(日本の警察組織と警察官;日本の「蜘蛛の巣」司法と検察の活動;被疑者・被告人の防御主体性―黙秘権を手掛かりに;被疑者・被告人にとっての刑事司法;刑事弁護人はどんな人たちか)
2 被疑者・被告人の運命を決める人たち(検察審査会ははりきりすぎか;刑事裁判官はどんな人たちか;裁判員は何のために参加するか;裁判員という経験―人々は、裁判員を務めるという経験をどのように受け止めるか)
3 法廷の中と外とをつなぐ人たち(日本の司法通訳の現状と課題;精神鑑定から見た刑事司法;刑事司法と報道;刑事司法をめぐる立法の力学―被疑者取調べ録音・録画の義務化立法を素材にして)
著者等紹介
後藤昭[ゴトウアキラ]
1950年生。青山学院大学教授、一橋大学名誉教授。刑事訴訟法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Piichan
11
日本の事件報道は記者クラブ制度のせいで横並びになっていると思います。事件報道に多様性を持たせるためには警察の記者会見オープン化が求められますが、全面的なオープン化は難しいので警察本部長の会見だけでもオープンにすべきです。フリーランスやネットメディアにとってはこれだけでも大きな前進になるでしょう。2018/02/03
たろーたん
0
宮澤節生の章。法務総合研究所(2015)によると、日本の一般刑法犯の発生率は、ドイツの7分の1、アメリカの3分の1で、殺人事件の発生率もアメリカの13分の1、ドイツの2分の1以下だが、検挙率は30.0%でドイツの54.5%に及ばない。警察官一人当たりの認知件数や検挙件数は、1987年の認知件数はアメリカや西ドイツの3分の1で、検挙件数はアメリカの3分の1、西ドイツの半分である。そして、犯罪状況が好転し続ける一方で警察官は増加しているが、検挙率は向上していない。(続)2024/04/20