出版社内容情報
敗戦国日本、“豊かさ”か“自立”か?この人間のせめぎ合いの実像を解明せずして、政治の本質は見抜けない。
内容説明
敗戦国日本、“豊かさ”か“自立”か?二人の首相、信念と選択のせめぎ合い。その結果誕生し、うねりとなっていった保守の二大潮流。吉田と岸の攻防、それは政策の選択であると同時に、人間感情のせめぎ合いによって生まれたものだった。こうした人間の実像を解明せずして、政治の本質は見抜けない。巻末に田原総一朗・御厨貴両氏の対談を収録。
目次
序 始まりは焦土から
1 奔流する二つの系譜(終戦~一九五五年)
2 岸の秘めた改憲構想、そして挫折(一九五七年~一九六〇年)
3 “豊かさ”が“自立”を飲み込んでいく、しかし…(一九六〇年~一九八〇年代)
おわりに 混迷と模索の時代へ
対談 戦後政治における二大潮流とは―田原総一朗×御厨貴
著者等紹介
安井浩一郎[ヤスイコウイチロウ]
1980年埼玉県生まれ。2004年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同年NHK入局、仙台放送局報道番組ディレクター、報道局社会番組部ディレクターを経て、2011年より報道局政治番組ディレクター。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代+」「日曜討論」などを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hk
10
軽武装・経済成長優先・対米協調路線の吉田茂、占領体制からの脱却・対米自立路線の岸信介。本書は2人の大物政治家を対比させることで、「豊かさか?自立か?」という戦後日本において現在へと連綿とつらなる政治のうねりを描いている。吉田は戦前においてうだつの上がらない外務官僚だったが、親英米のスタンスを終始崩さなかったことを評価してGHQが間接統治に利用した人物だ。一方で岸は頭脳明晰な経済官僚であり戦前の指導者層に名を連ねた人物である。敗戦によって岸は巣鴨プリズムに収監され、両者の力関係は完全に逆転したかにみえたが…2016/10/27
mushoku2006
6
副題に「自民党・保守二大潮流の系譜 」とありますが、 正にその通りという感じ。 中学生時代に「小説 吉田学校」を愛読していた私からすると、 特に目新しい知識はありませんでしたが、 最後の田原総一朗&御厨貴両氏の対談で、 岸信介は安保改定を国民へのサービスだと思ってやったんだ、というのには、 驚いたし、目から鱗でした。2016/09/19
そーすけ
2
73*吉田茂も岸信介も嫌いだが、戦後政治について学ぶために読む。2021/03/23
bassai718
0
戦後の自民党の二つの流れ、吉田(軽武装・経済発展・対米協調)と岸(自主憲法・対米自立)について、政策はもちろん2人も人物像に焦点を当てながら読み解く。新安保条約時に吉田が次期首相に池田勇人を推すよう岸に迫るくだりは鬼気迫る政治の裏舞台であり、本書でもっとも印象に残った。2017/12/11