ロジャー・アクロイドはなぜ殺される?―言語と運命の社会学

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  • サイズ B6判/ページ数 488p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000025973
  • NDC分類 933
  • Cコード C0036

内容説明

アガサ・クリスティーの傑作にして問題作『アクロイド殺し』。語り手=犯人とされる大胆な設定は探偵小説への挑戦であり、これまで多くの解釈がなされてきた。その奇妙な物語世界は、語り手の冤罪の可能性を示す「余白の声」や不確定性を、そして因果連関と「運命の相似形」をめぐる、果てなき問いの深淵を覗かせる。作品の精読と、それが書かれた時代的・社会的背景の探索から「言語」それ自体の謎に肉薄する。

目次

第1章 余白の声(語り手は嘘をつかない?;もうひとり犯人がいる?)
第2章 事件の概要(テクストの境界;事件の概要)
第3章 二つの推理(薄氷を踏む推理;探偵小説の構造と語り手)
第4章 物語の典率(犯人の影像;嘘つきの告白)
第5章 事件の書式―無実のエクリチュール(語りのなかの仕掛け;テクストの不安)
第6章 運命の双数(運命のディスクール;作者の失踪、被害者の運命)

著者等紹介

内田隆三[ウチダリュウゾウ]
1949年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ブルーローズ

2
永遠の名作?アクロイド殺しを右から左から分析した…のではなく、他のアガサものと比較…ではなく、分析途中で出てきた様々な疑問を他の文学を用いて解析、というところ。アクロイドだけだと量は不足するだろうけど。 2015/07/17

あんすこむたん

1
クリスティがアクロイド殺しで目指したものは何かということについて詳細に語っている。特にバイヤールの説に様々な反論をしている中で、作品の細部がよく見えてくるのがいい。2023/01/29

SEI

1
社会学者である著者がミステリの女王クリスティの問題作『アクロイド殺し』の解読に挑んだ書。クリスティの狙いは探偵小説の伝統的手法を覆すことだったが、それ故に、物語言説はクリスティの意図に反して不確定なものとなる。ナラトロジーの文脈から〈無実のエクリチュール〉や、物語るということ、〈入れ子構造〉〈メタレプス〉などの難解な用語が飛び交うが、要はクリスティの前衛性が両義的な言説を必要とし、その特異な言説に焦点を当てた本である。私のようなビギナーは難しいところは流し読み必須。たが、論旨は十分に面白かった。2017/08/19

だん

1
ピエール・バイヤール「アクロイドを殺したのはだれか」を否定していく個所が特に面白かった、バイヤール論は決め付けと飛躍が多くて納得のいくものではなかっただけに。終盤は少し範囲を広げすぎていたかなぁ。2017/06/05

youfuruya

1
まさに、知の冒険という感じでとてもおもしろかった。「だからなに?」という感じもしなくはなかったけど。よくぞ1冊のミステリからここまで、考察するなあ。2014/01/25

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