内容説明
セネガルとフランスの混血作家、ロブ=グリエ、ル・クレジオらが絶賛するフランス現代文学の旗手マリー・ンディアイ、本邦初訳。サスペンス溢れる眩暈の世界、リアルな奇想、微細な心理描写と酷薄なユーモア、そして悪夢の果てに訪れる慰藉…。フランス郊外を舞台に、鍛えぬいた技巧と圧倒的な完成度で、リアルでサスペンスフルな眩暈の世界に中流階級、貧困層の生活風景を浮かび上がらせる。パリを舞台にする従来の仏文学のイメージを覆し、階級社会の現実と生活意識、そこに生きる家族の風景を描いて心を揺さぶる短篇集。書き下ろし作家解説55枚収録。
著者等紹介
ンディアイ,マリー[ンディアイ,マリー][NDiaye,Marie]
1967年、フランス中部オルレアン近効で、セネガル人の父とフランス人の母の間に生まれる。1985年17歳で第一作『Quant au riche avenir』をミニュイ社から刊行。以降、長篇小説、短篇小説、戯曲、児童小説などを発表し、フランス現代文学の最重要作家の一人と目されている。2001年、『Rosie Carpe』でフェミナ賞を受賞
笠間直穂子[カサマナオコ]
1972年生まれ。上智大学卒、東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、上智大学等非常勤講師。専門はフランス文学、地域文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんすけ
14
作家の生き方を知らなくとも作品を味合うのは可能だと謂う。 だがンディアイに関しては、そうは言えないと思う。 夢想家の作品として勘違いしたまま読み捨てるなら、知らなくてもいいだろう。 だが読んでいる最中は、なにか裏に秘められているような牴牾しさに、つきまとわれてならない。 ンディアイは、自身のことをあまり語らないという。 本書の解説に下記が紹介されている。 ”私はいつも、「どこから来たの?」という質問に答えなければならず、その質問に答えるときにはいつも、詐欺をはたらいているような奇妙な思いにとらわれた。”2022/07/09
きゅー
11
『みんな友だち』なんていうタイトルに騙されてしまったが、非常に居心地の悪い短編が5編収録されている。しかもこれらの物語の奇想ときたら、フリオ・コルタサルの短篇集にもひけをとらない質の高さ。本作では、人と人とのコミュニケーション不全、あるいはもっと根本的に人と人とは理解し合うことは可能なのかと問われている。ああいやだ、いやだと思いつつも視線をページから引き離すことができない。そして彼らの不幸(そう、登場人物はみな一様に不幸だ)は、人との阻害以前に、自分自身を見失っていることにあると理解された。2014/06/30
wagatsuma_songs
1
ル・クレジオやロブ=グリエが絶賛するフランス人現代作家ということで期待して読み始めた。 いやぁ、読み終えて、ちょっとびっくりしたな。 この『みんな友だち』は、短編集で、表題作を含む5作品が入っているんだけどさ、どの作品もちょっとウィアードというか、捻れている感覚がある。 誰に似てるか? と聞かれると難しいけど、カズオ・イシグロのような端正さもあれば、カフカのような不可解さもあって、でも、ずっとシンプルなような気もするし、うーん。わからん。マジでちょっと奇妙なんだよな。なんだかクセになる文体なんだ。2023/04/15
belier
1
寒々としているようでいて、なぜか心地よい寂しさ。レイモンド・カーバーに通ずると思った。訳者解説によると、カーバーは作者の愛読書の一つらしい。不気味で不思議で不条理な世界。ストーリーを楽しむより、その独特の世界に入り込むことに悦びを見出してしまう短編集。2013/05/23
猫のゆり
1
よくわからないんだけど、なぜか惹かれるマリー・ンディアイ。2009/03/22