内容説明
日本とスイスは一八六四年の日瑞和親通商条約によって公式の外交交渉を開始し、二〇〇四年に一四〇周年の記念すべき年を迎えた。ヨーロッパの中央に位置する小さな山国は風光明媚な観光対象としてだけではなく、「平和と民主主義」のイメージによって日本人には好まれてきた国である。幕末の開国以来、日本はさまざまな分野でスイスの受容を実際にしてきている。本書はその受容のさまざまな姿を検討することを目的としている。
目次
第1部 政治・政治思想(スイス像の変遷とその日本社会への影響―主として、明治維新期と一九四五年以降を対象として;スイスの栄光と苦難―日本におけるスイス中立の受容;小国主義論―「小国」のなかのスイス―二〇世紀日本についての議論;日本におけるスイス政治の受容;近現代日本におけるルソー―中江兆民から福田歓一まで)
第2部 宗教・経済・教育(日本の改革派教会―歴史と現代;日本におけるスイス経済像―その変容にみる近代像・経済政策認識の変遷;二〇世紀日本の教育界におけるペスタロッチ受容とペスタロッチ像の変遷;日本の教科書におけるスイスとスイス人)
第3部 文学(現代日本におけるスイス・ドイツ語文学の受容;芹沢光治良の短編小説『ブルジョア』―コスモポリタンのブルジョアが出会う場所としてのスイス;武者小路実篤と『ルツェルン』;スイスをめぐる俳句旅行―江國滋『スイス吟行』と俳人鷹羽狩行について)
著者等紹介
森田安一[モリタヤスカズ]
1940年東京都新宿区に生まれる。1970年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、日本女子大学文学部長・教授、博士(文学)
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