内容説明
統一国家として全国共通の貨幣制度が施行された江戸時代では、現代と同じように人びとはインフレ・デフレに悩み、相場の動向に大きく翻弄された。本書は、近世全期を通じての銭相場の変動を追い、庶民生活の実態にせまる。
目次
第1章 江戸初期の銭と銭座(寛永通宝の鋳造;芝と橋場の銭座 ほか)
第2章 元文の貨幣改鋳と銭相場(米価引上げと貨幣改鋳;改鋳の影響と銭相場 ほか)
第3章 宝暦・天明期の銭と庶民の暮らし(宝暦期の江戸銭相場;明和期鋳銭政策の実態 ほか)
第4章 幕末期の銭相場(銭相場の引上げと銭の払底;問屋仲間組合再興後の銭相場 ほか)
第5章 幕末期江戸町人の暮らし(弘化~嘉永期の江戸町人;安政~万延期の江戸町人 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
24
江戸時代の物価、通貨の安定政策やそれによって庶民の生活にどんな影響があったか研究した著者の論文を収録している。江戸時代の貨幣制度は供給量が不十分であったり、単純に三貨(金貨・銀貨・銭貨)が自由に使われたわけでもなく、レートも地域によって異なるというとても複雑な構造になっている。本書ではただでさえ複雑な構造にさらに米価の安定という課題ものし掛かり幕府が四苦八苦した様子が書かれている。改鋳についても益金(回収して含有率を下げて供給するので差分が利益)狙いというより、米価安定を狙ったものという立場をとっている。2023/07/05
人生ゴルディアス
0
銭相場からみる江戸の経済云々。とはいえ、メインはひたすら銭相場と、幕府の右往左往振り。当時の通貨全体のことが記されているわけではない。文中の書き方が不親切で、相場があがる下がる、物価が上がる下がる、という記述が、なに相場でなんの価格に対して上がるのか下がるのか混乱するところが多々ある。また、庶民の暮らしはほぼ出てこない。2014/11/29