内容説明
本書は、1918年の出版であり、今世紀初頭の国家論など世紀末の現在において、何の顧みるべきものがあろうと言う人がいるかも知れない。だが、本書はソシアル・ワーカーとして豊富な経験と実績をもつ女性哲学者の50才の時の作品であり、人間と社会の根源的把握にもとづく、代議政体批判の書として、選挙制度改革で揺れる今の日本にとっても、政体のあるべき方向あるべき形を考える上で大きな示唆を与えると思われる。
目次
第1編 集団原理
第2編 伝統的民主主義
第3編 集団組織的民主主義の方法
(近隣集団;職域集団)
第4編 集団の二重性―諸国人の統一体、より大きな統一体における個人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
O. M.
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今から約100年前のアメリカの政治哲学書で、民主主義国家はかくあるべし論です。個人が集団意識を持つこと。そのために、近隣のコミュニティ活動から始めること。とにかく眩しいくらいの立派で理想的な民主主義が語られます。今の日本で考えるに、現実のギャップが大きすぎて、本書の理想の国家の実現は遠いように思います。しかしともあれ、氏の理想をまっすぐに語る語り口にはパワーがありますし、読後に何か行動したくなるようなエネルギーを持った良書だったと思います。現状の政治に漠然とした不満感をお持ちの方にかなりオススメです。2014/05/20