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内容説明
1920年代、ベルリン。キャバレーのウェイトレス、フリーダは、若き詩人・劇作家のベルトルト・ブレヒトに出会う。女はステージに立って身体からわきあがる思いを歌い、男は腐敗する社会への怒りを演劇にたくした。極悪非道が粋なスーツで闊歩する『三文オペラ』の舞台は大成功。だが、このセクシーでアナーキーな讃歌が止んだとき、ナチの底知れぬ悪意が街を襲いはじめていた。モスクワ、ニューヨーク、ロンドン、東ベルリン…戦争と政治の嵐が吹き荒れる時代、フリーダは命がけで都市を駆けめぐる。ブレヒトへの愛は、悔恨が同志愛とも慈しみともなって、どんなときも生の根幹にあった。架空のヒロインの半生を追って、時代の空気と実在した人びとを鮮やかに甦らせたモデル小説の秀作。