内容説明
西欧の自由と文化を吸収した鴎外は、帰国後、保守的な医学界と鋭く対立し、孤立ときしみの中で諦念にねざす多彩な文業を展開した。本書は鴎外ひとすじの著者が、日記、書簡、新聞雑誌、作品などを援用、軍医・作家両面の栄光と苦悩を客観的に描き、調査や新資料を駆使して不明な部分をも解明した。
目次
1 郷関を出づ
2 青雲の志を抱いて
3 美と自由の国への旅立ち
4 孤立無援の戦い
5 作家誕生
6 軍陣衛生学の再認識
7 雌伏の時
8 二つの顔
9 豊熟の光と影
10 自然主義の嵐の中で
11 生の源郷を尋ねて
12 晩年の成熟と輝き
13 忍び寄る死の足音