出版社内容情報
教科書の中の性差別については，これまで日教組や市民団体によりいくつか研究がなされてきた。しかし，これらの研究は，特定の科目について検討されたものが多く，現在の教科書についての分析は少ない。本書は，現在の学校教育，それも性役割意識の形成により影響が強いと思われる小・中学校期における性役割，男女平等についての取り扱いをできるだけ体系的・網羅的に明らかにしている。それだけに，現代教育における性差を考える重要な素材を提供している。
１ はじめに［伊東良徳］
２ 小学校教科書の現状
国語［伊東良徳］
社会科［吉岡睦子］
家庭科［紙子達子］
道徳［伊東良徳］
３ 中学校教科書の現状
国語［伊東良徳］
社会科・歴史的分野［吉岡睦子］
社会科・公民的分野［吉岡睦子］
技術・家庭［紙子達子］
道徳［伊東良徳］
４ 教科書における男女平等の必要性［大脇雅子］
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
5
1991年刊行。「はじめに」に〈マスコミ等で女性の進出が目につくのは、それがまだ珍しいからである〉とある。さすがに現在はその段階は終えていると思う。本書は本書は「日弁連女性の権利に関する委員会」関係者による学校教科書批判であるが、従来の教科書研究は日教組（婦人部）や市民団体が担っていたそうである（これ自体は当たり前だが）／国語で批判的に取り上げられているのが、今江祥智『どろんこ祭り』(1970)と井上靖『しろばんば』(1960～)。前者は国語教科書作品で始めて恋愛らしきものを扱ったものだそうな。2019/04/08
