内容説明
本書が対象とする東南アジア大陸部には、現在、ミャンマー連邦、タイ王国、ラオス人民民主共和国、カンボジア王国、ベトナム社会主義共和国という五つの国民国家が存在している。このうちタイを除く四カ国は、いずれも1945年の太平洋戦争終結以後に、さまざまな経緯をへて植民地からの独立を達成し、国民国家として出発した。独立後の歴史はまだ半世紀をようやくこえた新しい国々ではあるが、いずれも独立に先立つ長い前史をもっている。これらの国々の個別の歴史を、近代国家の国境をこえた東南アジアという、より広い文脈のなかに位置づけながら、大陸部全体が歩んできた歴史の道筋を、整合的に語るのが本書の目的である。
目次
序章 東南アジアの大陸部世界
1 東南アジア諸地域の形成(先史時代;紅河の世界;南シナ海の世界 ほか)
2 世界のなかの東南アジア(ベトナム世界の成立;ポスト・アンコール;シャム世界の形成 ほか)
3 現代の東南アジア(戦場から市場へ―激動のインドシナ;軍部独裁下のビルマ;「国の開発」―タイの試み)