中島敦論

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622071358
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

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「わたしの議論は、あまりにも草稿にすぎぬ未完の『北方行』を重視しすぎるという批判があるかもしれない。しかし『北方行』を絶筆してから中島敦には6年の歳月しか残されていなかった。しかもその絶筆は、作者の自発的なものではなく外部からの無言の圧力のまえにやむをえずとられた措置だった。とすれば以後中島敦が、『北方行』で全面展開しようと心に期していた主題を、他の何らかのかたちで表現し展開する方策を死力をつくして模索したことは想像にかたくない。いってみれば6年の歳月は、異常な密度をもって、そこにすべてを賭けた模索につぐ模索に終始したとさえ見えるのである」


渡邊一民(わたなべ・かずたみ)
1932年東京生まれ。東京大学文学部佛文学科卒。近現代フランス文学専攻。立教大学名誉教授。著書『神話への抵抗』(思潮社1968)『ドレーフュス事件』(筑摩書房1972)『近代日本の知識人』(筑摩書房1976)『岸田國士論』(岩波書店1982)『林達夫とその時代』(岩波書店1988)『フランスの誘惑』(岩波書店1995)『〈他者〉としての朝鮮 文学的考察』(岩波書店2003)ほか。訳書『アポリネール詩集』(新潮文庫)、サン=テグジュペリ『人生に意味を』(みすず書房)、ベルナノス『田舎司祭の日記』(春秋社)、フーコー『言葉と物』(共訳・新潮社)ほか多数。

内容説明

谷崎潤一郎に現代小説の展望を見いだし、「本格的な構想的ロマン」にこだわりつづけた中島敦が、1930年初秋の北京を舞台にした長篇「北方行」の完成を断念したのはなぜか?この問いに始まる本書は、同時代と真摯に向き合い、“歴史”をかいくぐりながら“他者”への問いを深化させていった日本最初の植民地出身作家の全軌跡を明らかにしてゆく。「巡査の居る風景」ほか初期短篇群から、掉尾を飾る「李陵」まで―「作品すべてを網羅する中島敦の全体像」を、まっこうから提示した待望の書。

目次

1 「北方行」
2 狼疾
3 新しき地平
4 南方行
5 華々しき登場
6 歴史を超えて

著者等紹介

渡辺一民[ワタナベカズタミ]
1932年東京生まれ。東京大学文学部仏文学科卒。近現代フランス文学専攻。立教大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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