感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
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「伝統とは即ち社会の夢に外ならぬ」。想像だから何でもありのような伝説や民話も、多く並べてみると種類は限られていて互いに脈絡がある。一種の約束に拘束されている。ありうべきこととあり得ないこととの区別がある。その約束を読み解くと、そこに言葉としては残されていない民衆の信じた世界が浮き上がってくる。それがわかってどうするという問いは、この時点では問われておらず、好事家的もしくは文学的趣味の問題なんだが、神が今よりもずっと人に近かった時代を覗くのは、我々の無意識を覗くようなスリリングな感じがするのはなぜなんだろ。2018/08/13