出版社内容情報
本書は「唯物論的無神論」で、デモクリトスからドイツ唯物論にいたる無神論の系譜をたどり、「人間主義的無神論」で、マルクス主義、ニーチェ、実存主義における無神論を省察し、現代の無神論が、閉ざされた世界においてではなく、深められた人間的経験を土台に対話を始める準備を整えていると説く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「宗教批判はヒュームの哲学的業績においては副次的な位置しかしめていない…しかし、彼の宗教批判は、それが理神論の基礎そのものを破産させている…ヒュームの甥の手によって出版された『自然宗教にかんする対話』が、十八世紀における宗教批判のうちもっとも偉大な書物であると称せられてきた…対話者たちがしだいに解き明かすことになっている根本命題は、<迷信的>宗教と哲学的宗教とが根本的に同一であるということ…争う余地のないほどあまねく現前している悪を出発点にとって、ヒュームは、普遍的理性をも神の善意をも承認することを拒む」2021/06/13
最大255文字
1
ニーチェ的無神論を克服した実存主義万歳という口ぶり、流石はおフランス様でといった感じ。アルフレット・ローゼンベルク『20世紀の神話』は筆者によれば「退化したセム主義とアジア主義とはキリスト教を北欧的ヘレニズムから逸らせた」「キリスト教がドイツを地中海的腐敗へ引きわたしたのである」などと書いているそうだが、出鱈目抜かすなよローゼンベルク!以外の感情が消える。ニーチェが大いに生物学の知見を流用しているのは論をまたないが、そのニーチェを援用したローゼンベルクは単純に事実誤認をしているという点で間違っている。2019/01/28
・C・
0
訳が古く今読むと少し難しい表現も多くなっている。しかしこの手の書籍としては比較的読みやすい部類に入ると感じた。多くの無神論を時代ごとに区分けし説明を加えている。その説明を加える立場があまりはっきり理解できる形で記されていないのには戸惑うが多くの無神論的知識が得られるこの本の有用性は高い。2016/11/26
Shun Kozaki
0
一昨日、Akademischer Vaterともいうべき、鞍馬口のプラトンとお話をする中で「読まなあかんけど難しいねん…。」と意見が一致した本。どうせ夜寝つかれないから、取り掛かってみました。 第一部の、唯物論的無神論にかんしてはようわからん。ここで示されている「エピクロス的道徳」が中世或いは近代初期の無神論を読み解くための重要な術語であることはなんとなくわかるんだけどさ。第二部は比較的まとまって言述されている感じ。哲学史上の無神論の「系譜」がコンパクトにまとめられている気はするが、消化不良。2018/03/26