新しいフランスの小説<br> アルト・ソロ

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新しいフランスの小説
アルト・ソロ

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  • サイズ B6判/ページ数 164p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560043295
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

 亡命した作曲家の作品を演奏会にのせようとする弦楽四重奏団。だが権力を掌握しつつある右翼勢力にとってそれは許しがたい行為だった。彼らは会場に乗りこみ演奏を妨害しようとする。架空の都市シャムルーシュを舞台に、理不尽なテロに対する音楽家たちの悲痛な抵抗のドラマが展開される。

内容説明

亡命した作曲家の作品を演奏会にのせようとする弦楽四重奏団。だが権力を掌握しつつある右翼勢力にとってそれは許しがたい行為だった。彼らは会場に乗りこみ演奏を妨害しようとする。架空の国シャルムーシュを舞台に、理不尽なテロに対する音楽家たちの悲痛な抵抗のドラマが展開される。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

90
突拍子もない考え方だが現実は無数にあるのかもしれない。山田さんの現実と田中さんの現実は重なり合う部分は多いが、ずれているところもある。この小説の中でも第一部で登場人物を通して様々な現実の層が描かれる。それを押し潰すのが謎めいたフロンド主義で、ナチズムのような輪郭を持っているが微妙に異なっており、人間を画一化する大きなうねりと言えるかもしれない。さまざまな現実が描かれるうえに、虚構(小説)と現実の関係も考察されて複雑さが増した内容になっている。青一色に染められるラストは美しくて、物悲しい。2014/02/16

きゅー

13
これまで読んだヴォロディーヌの作品の全てに刑務所が登場する。本作も架空の独裁国家が舞台で、そこで暮らす人々の翻弄される人生が切り取られる。「一つの民族には、ただ一つの文化を」と叫ぶフロンド主義者たちと羽毛に覆われた鳥男の対比は、かつてのナチスとユダヤ人を想起させる。そして、自分がどんな主義と対峙しているのか理解している人間だけが、衆愚のざわめきから逃れようとする。彼の作品にはつねに閉塞感が充満している。定められた運命のなかで、人はどのように勇敢さを持つことができるのかを一つ一つ確認しているようにも見える。2015/07/23

ぶうたん

6
デビューから4冊がSFで、後書きによると自作は全て一種の幻想文学と言っているらしいので興味が膨らんだが、記述型式から凝ったディストピアもので、やや難しく読みやすいとは言えなかった。また描かれるディストピア自体は独裁者や取り巻きが出てくるものの世界の広がりはなくこじんまりとした趣で、そこに投げ込まれてもがく登場人物たちを描くのが主眼だ。なお本書に登場する鳥人間は何かの象徴なんだろうが、今ひとつ意図がわからなかった。日本では3冊の邦訳があるが本書が初紹介。あとの2冊も買ってあるので、機会があれば読んでみたい。2021/01/10

春ドーナツ

0
訳者あとがきを読み終えた途端、いろいろとこんがらがってきた。2012/08/12

夏みかん

0
登場する独裁者、ヒトラーのようでもあり、解説によるとレーガンのようでもあり、今現在の目で見るならトランプのようでもある。つまりどの時代でもどの場所にでも出現しうる人物なんだろうな。「民主主義」の暴走のようなこのディストピア世界は、幻想的なのに嫌にリアルで恐ろしい。2021/01/26

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