出版社内容情報
伊勢神宮と『古事記伝』、安土城と『日本史』など、時代を代表する建築と文芸をつき合わせ、その間にひそむ事柄を探る。異色かつ贅沢な13の対談で読む日本文化史の新しい視座。
内容説明
西芳寺『狂雲集』、当麻寺『死者の書』、三輪山『万葉集の精神』…異色かつ贅沢な対談で読む日本文化史の新しい視座。
目次
東大寺南大門と『明月記』
西芳寺と『狂雲集』
孤篷庵と朱舜水・隠元
伊勢神宮と『古事記伝』
当麻寺と『死者の書』
三輪山と『万葉集の精神』
広島平和記念会館と『「いき」の構造』
無鄰庵と『五重塔』
厳島神社と『平家物語』
安土城と『日本史』
角屋と近松門左衛門
「お祭り広場」と三島由紀夫
ヴェネツィア・ビエンナーレ「亀裂」と村上春樹
著者等紹介
磯崎新[イソザキアラタ]
1931年生まれ。東京大学数物系大学院建築学博士課程修了。磯崎新アトリエ代表者。建築活動のみならず、思想・美術・デザイン・文化論など、その活動の領域は深く広い。また多くの国政的なコンペの審査員やシンポジウムの議長もつとめる。建築作品に「大分県立図書館」、「群馬県立近代美術館」、「なら一〇〇年会館」、「ロスアンジェルス現代美術館」など
福田和也[フクダカズヤ]
1960年生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒業、同大学院修了。現在同大学環境情報学部助教授。『奇妙な廃墟』を発表以降、文芸評論を中心に刺激的な執筆活動を展開。1993年の『日本の家郷』で三島由紀夫賞、1995年の『甘美な人生』で平林たい子賞を受賞
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感想・レビュー
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T M
6
「文学的テクストに建築物を付き合わせてその隙間に潜む事柄を暴くという暴力的な企画」。分かるような分からないようなテーマだが、各論の建築物に纏わる磯崎独特の建築思想が好奇心を刺激し、さらに文学を強引に絡めて、毎回凄い話になっている。全体として磯崎の建築史への問題意識が根底にある。例えば、日本の建築はモノではなくコト。異形として現れたデザインは消えるか口触りの良いものに「日本化」されていく等。読み手にそこそこの知識レベルを求めるので言葉が難しいが、内容は面白い。あとがきで狙いが分かるという私の体たらく、涙。2016/12/27
T M
6
これはキツイ。読む人間に一定の知識水準を要求するからである。いちいち単語に引っかかり検索し書き込みながら読了。後半からやっと面白さが分かってきた。今2回目。2回目になってようやく内容が頭に入ってきた。2回目の感想は後日。著書のテーマは磯崎氏、福田氏が、建築と文学を突き合わせることにより炙り出される事柄を語るというもの。お二方が博識過ぎて、初めて知ることがたくさんである。お気に入りの高階秀爾先生の著書に出てくる論理の出典元が出てくる。これは嬉しい。2016/05/29
引用
1
社会的な人間が自我に先立つ様を見ていた、文化論としての真偽を判断しかねるけれど意図は大変分かるような気がする。それと木という大問題がある。2020/05/04