目次
花火
山東京伝
件
流木
道連
短夜
波止場
豹
冥途
大宴会
流渦
水鳥
蘭陵王入陣曲
山高帽子
長春香
東京日記
サラサーテの盤
琥白
遠洋漁業
風の神
虎列刺
炎煙鈔
雀の塒
薬喰
饗応
百鬼園日暦
餓鬼道肴蔬目録
一本七勺
無恒債者無恒心
蜻蛉玉
大瑠璃鳥
泥坊三昧
素人掏摸
長い塀
錬金術
特別阿房列車
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
耽美な世界が広がっていました。言葉の1つ1つが美しくうっとりしてしまいます。艶やかなので読んでいてときめきます。幻想的な雰囲気も華麗で、このような綺麗で妖しい世界に浸れる幸福を味わいました。2022/03/12
yumiha
28
2007年に出版された当初すぐに購入し、「ノラや」がなかったせいで10年余も積読本だった。『太陽と乙女』(森見登美彦)のおかげで、やっと永久凍土から掘り出された。前半は、私の苦手とする日常が異界へつながるホラー系。就寝前には読めませぬ。後半になって楽しめる短編。付箋紙が増えた。特に「大瑠璃鳥」では「ぷっくんたたたぽうぽ」のため息の節に、吹き出して笑った。借金・泥棒・掏摸の話も楽しい。解説(赤瀬川源平)の百閒先生を称して「ジョン・ウェインを裏返して裏返して無限に裏返した顔付き」という表現も笑えた。2018/08/24
あなた
17
幻想文学とは、此岸/彼岸、聖/俗、現世/異界、自己/他者などの境界線を破砕していくことにそのおもしろさがある。液状に境界線をぐじゅぐじゅになめしていくのが内田百閒。猫も妻もビルも鍋も異界化することで異化していったのが内田百閒。異化のチャンピオン、内田百閒。2009/07/13
いなぎ
10
名前は知っていたのに、これまできちんと読んだことがなかった。「音楽も文学作品も、結局十代の頃にぶつかったものが一番残っちゃうんだよな」という、10年以上抱えていた諦めだか気持ちの悪い自己陶酔だかわからないものを、初めて吹き飛ばしてくれたかもしれない。それぐらい好みだった▼不思議で、不気味で、美しい風景に連れて行かれて、留まっていたいような、長居をしてはいけないような気持ちになる。しんとした、静かな寂しさや悲しさが急に胸に迫ってきて焦ったりする。借金おじさんの謎理論に笑ったりもする。最高でした。全集欲しい。2024/05/11
すぎの
5
川上弘美さんが先生とあおぐ、内田百間。一気によむのがあまりにもったいなさすぎたので、三週間かけ、また借りなおしてちびちびよみすすめた。擬音擬態語など表現が独特で、どれもこれも面白い(「私はからだじゅうにさむさむがたった。」)。返すのが惜しい。わたしも尊敬の念をこめ、これからは先生、と呼ばさせていただきます。2012/02/19