内容説明
ゲーデルが25歳で出版した「不完全性定理」(1931)は、当時の数学界の巨匠ヒルベルトが提唱した「形式主義によって超数学を展開しようという計画」に対して、原理的な限界を示す衝撃的な証明だった。それは数学のみならず哲学・思想界にも、「人間の知性のある限界が示された」と大きな波紋をもたらした。ゲーデルはいったい何を明らかにし、どのような新しい道を示したのか。この記念碑的業績にいたる数学の歴史的な歩みをたどりながら、難解といわれるその結果の意味をていねいに解りやすく解説する。『ゲーデル、エッシャー、バッハ』の訳者ならではの、ユーモアをまじえたゲーデルへの超入門書。
目次
第1章 ギリシャの奇跡
第2章 体系とその進化
第3章 集合論の光と陰
第4章 証明の形式化
第5章 超数学の誕生
第6章 ゲーデル登場
著者等紹介
野崎昭弘[ノザキアキヒロ]
1936年、横浜市生まれ。東京大学理学部数学科卒業。電電公社(現NTT)に勤務後、東京大学、山梨大学、国際基督教大学を経て、大妻女子大学社会情報学部教授。専門はコンピュータ科学の基礎理論。高校数学の教科書の編集・執筆にも20年携わり、その縁で数学教育協議会に参加、現在は委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
19
むろん、ロード・トゥ・不完全性定理の道半ばで途中棄権することになったのだが、むしろ、その”ロード・トゥ”の部分で収穫があった。とくに、現代数学の父と呼ばれるヒルベルトの「公理系」について。それは、「べつに絶対の真理じゃなくてもいいから”ある公理”から出発して、推論を重ねて”ある結果”が出たとして、それが完全で矛盾してなければ良くね?」という考え方。たとえば、1+2=3という式は「+=は”加える”」というルールに従っているから3になるので、「+=は左右どちらか大きい方」というルールであれば1+2=2となる。2016/02/14
テイネハイランド
13
年末にあわてて受けた健康診断の間に読んだ本。先日読んだ「入門!論理学」と被っている内容もあったので、途中まではすんなりと読めましたが、集合論のパラドックス(P.116)あたりから難しくなり、最後の章(「ゲーデルの不完全性定理」)になって、 G(1117)⇔-Provable(sub(1117,17,g(1117))という数式が出てきてそのあたりでは全くついていけなかったです。なぜ対角線論法とゲーデル数を用いればゲーデルの定理が証明されるのか、改めて他の本も参考にして再読が必要かもしれません。2016/12/11
K.D.N
4
全6章で構成されている本である。5章までは数学の歴史と形式化や公理、定理といった枠組みの基礎的な説明であり、メインのゲーテルによる不完全性定理についての説明は第6章で綴られる。5章まではついていけたが、肝心の6章がきちんと理解出来なかった。しかし、ヒルベルトとゲーテルの数学界に与えたインパクトの強さは伝わった。不完全性定理を感覚的にも論理的にも理解できるようになるまで何度も読み直そうと思う。しかし、天才は凄まじい!!2011/10/03
hyoshiok
3
図書館本。ゲーデルの「不完全性定理」の解説。様々な解説本そして証明を読んだけど、どれも全くもってよくわからなかった。本書は6章で不完全性定理の証明の概要を解説している。著者の野崎さんは「ゲーデル、エッシャー、バッハ」の訳者の一人。ω無矛盾、対角線論法などが出てくる。今回の説明でもよくわからなかったけど、なんとなく、そんなものかという感じはつかめた(幻想かもしれない)。ただし、それを誰かに説明できるかというと、説明できそうにないので、やっぱりちゃんとは理解できていない。他の解説本を読んでみる。2018/05/13
タウ
3
結局「不完全性定理」が何なのかはよくわからない!「正しくても証明不可能なこともある」という感じだろうか。なるほどと思ったのは、昔のギリシャ人は「無限に続く直線」を認められなかったという話。それを認めることは「無限に広い空間」を認めることになるが、世界の端に滝があるような「有限の世界」に生きていた彼らにそれは難しかったのだ。世界に限りはないのかもしれないと気づいたときの感覚は、どれほど爽快なものだっただろう。そんなことを考えた。2015/08/05
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