内容説明
長い間の風雪に耐えて、日本人の間に親しまれ、愛誦されて来た「小倉百人一首」成立の複雑な事情を解明しつつ、藤原定家撰として信憑性の高い百人秀歌に注目して、一首一首を鑑賞する。唱和し、合せ、本歌を取る日本の歌の伝統の真髄にふれ、平安の王朝人にとって、四季折々の感動であり、愛情の表現であった百人一首の歌を評釈しながら百人秀歌をえらんだ定家晩年の歌心を探る。そして、かつてない簡潔な歌意、新説を含む語釈、斬新な文法解釈、作者略伝などを付す。
目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
春すぎて夏来にけらし白妙の
あしひきの山鳥の尾のしだり尾の
田子の浦にうち出てみれば白妙の
おくやまにもみぢ踏み分け鳴く鹿の
かささぎのわたせる橋に置く霜の
あまの原ふりさけ見れば春日なる
わが庵は都のたつみしかぞすむ
花のいろはうつりにけりないたづらに
これやこの行くも帰るも別れては〔ほか〕
著者等紹介
安東次男[アンドウツグオ]
1919‐2002年。岡山県生まれ。東京大学経済学部卒。詩人、俳人、評論家。号は流火。昭和16年ごろから加藤楸邨に師事、「寒雷」に投句。のちに詩作に転じたが、壮年以後も句作を続け、格調高い作風を示し、句集『流』で詩歌文学館賞。その間、『澱河歌の周辺』(読売文学賞)、『与謝蕪村』、『芭蕉七部集評釈』、『藤原定家』、『古美術の目』など、鋭い感性と精緻な読解による秀抜な批評活動を行なう
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