内容説明
激しい競争の中で技術レベルを高めてきた日本の中小企業は、「成熟社会」「超高齢社会」を迎える日本経済に、どう対応すべきなのか。大都市工業地域の現場を通して、「大都市と工業」、そして「地域と中小企業」の新たな関係を模索し、次代の大都市経済社会で中小企業に期待される役割を考える。
目次
プロローグ 阪神復興と中小企業
第1章 大都市工業とは何か―成熟したモノづくりと流通
第2章 ナショナル・テクノポリスの形成と現在―大田区中小機械工業の集積
第3章 メイド・イン・トーキョー―下町「すみだ」の中小零細工場
第4章 多摩川ハイテクリバー―第三の「大都市工業」
第5章 インナーシティと中小企業―高齢社会と産業生活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すぎえ
2
大都市工業における3つの類型として①ナショナルテクノポリスとしての大田区、②住工混在の零細企業群の墨田区、③ハイテク中小群の八王子・多摩地域についての工業の発生から現在までの発展を俯瞰するとともに産業政策を紹介。特に現場感覚の強い筆者のため、産業政策の効果や視点が被対象者となっていてとても参考になる。また、インナーシティ問題にも触れられており、ひとつの解決策として地場産業の発展や維持は不可欠とした。高齢者が年金の捕捉分として家族経営の零細企業を営める環境というのも大切なのかもしれない。2012/02/05