内容説明
ギリシア神話と混同されがちなローマ神話の独自性を明確にし、さらに神話時代から歴史時代へと変容していく壮大な時の流れをわかりやすく跡づける書下ろし。好評の『ギリシア神話―西欧文化の源流へ』の姉妹編。挿絵20葉(今尾泰三画)、コラム、作品案内、関連地図、神々の系譜、主要神名・人名一覧などを加えてある。
目次
はじめに(ローマ神話とギリシア神話;ローマ文明の源流)
アエネアスの遍歴(祖国喪失;流浪の民;カルタゴの女王;冥界へ下る;新都ラウィニウム)
永遠のローマ(草創期;王政時代;共和政時代)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
30
トロイア落城からはじまる神話。ギリシアに敗れたトロイアの英雄アエネーイスたちが女神ウェヌスの保護を受けながら新天地イタリアへと向かう。そして彼らの子孫であり王位を奪われたヌミトルの娘シルウィアが軍神マルスと契を結び、生まれたロムルスとレムスがローマを建国する。ローマ建国後、王政7代と共和政初期までの伝説が書かれている。歴史書では伝説的な記述ばかりとしてとばされるのでちゃんと読めて良かった。神話によってローマ人の価値観に触れるのは興味深く『戦いの神話』という印象を強く持った。2024/02/20
鈴木さん
4
授業で取扱い、試験の為に読了。ギリシャ神話と比較しながら読み進める、ローマ神話の粗筋です。ギリシャ神話と似た部分はハブかれていることが多いので、同じ先生の書かれているギリシャ神話を先に読んだほうがいいかも。難解で専門的なことは書かれていませんから、入門書としてはいいのではないでしょうか。2011/01/28
あまの
2
トロイア戦争で敗北したアエネアスが苦難の旅路の末に約束の地イタリアにたどり着き、エトルリア人と戦いローマの地に国の基礎を築くまでと、その13代のちに帝国ローマの祖となる狼に育てられたロムルスとレムス兄弟、共和制ローマの時代までの話です。最初の方は神話なので、ギリシャ神話の知識があった方がスムーズに読めると思う。2012/08/14
神野
1
紐の栞付いてなかったか…12月17日から1週間サトゥルヌス神の祭日(クリスマスの原型)として紹介。ローマ神話とギリシア神話との違いとエトルリアの事少々の説明から始まり、神話(英雄とそれに関わる神の神話)が続き、草創期〜共和政時代のローマについて書かれてました。そう言えばトロイの木馬の話は初めてじっくり読んだかも知れない。城を落とした神話と言うのは知ってたけど。なので、この本ではローマ神話の神々の神話は大幅に省かれてる。サトゥルヌスなんて黄金時代の、ユピテルの父、クリスマスのと言う部分的説明のみだったし。2023/02/18