内容説明
マルクス・エンゲルスに始まり、カウツキーら第二インター、レーニンらロシア革命の指導者、中欧・東欧のマルクス主義者は、ユダヤ人問題を如何に位置づけたか。激化する反ユダヤ主義や深刻なユダヤ民族問題(イディッシュ文化かシオニズムか、同化か分離か)に対し、公式的発展史観に立つマルクス主義はしばしば有効な方針を打ち出せなかった。ヒトラーのユダヤ人虐殺に至る歴史の中で、トロツキー、ローザ、グラムシ、ベンヤミン、アブラム・レオンらは、階級闘争と民族のアイデンティティの間で独自の理論を追究し、マルクス主義の再生の方向を模索した。マルクス主義インターナショナルとユダヤ民族問題は果たして両立するのか。1843年(マルクス『ユダヤ人問題によせて』)から1943年(アウシュヴィッツ)までの論争の、苦渋にみちた追跡。
目次
第1章 マルクスとエンゲルス
第2章 中・東欧ユダヤ人のマルクス主義知識階級
第3章 ドイツとオーストリアのマルクス主義者(1880‐1920年)
第4章 イディッシュ文化かシオニズムか?ユダヤマルクス主義者
第5章 ロシアとポーランドのマルクス主義者
第6章 ユダヤ人とロシア革命(1917‐1937年)第7章 グラムシとユダヤ問題
第8章 ヴァルター・ベンヤミンのメシア的唯物論
第9章 ヴァイマールからアウシュヴィッツへ
第10章 民族‐階級理論―アブラム・レオン