内容説明
「忠臣蔵」では、浅野内匠頭と浪士たちは正義の側に立つ“善”、上野介は意地悪で怯懦な“悪”とされているが、はたしてそれは本当か?著者が丹念に史料を読み込んでみたら、内匠頭への賄賂の強要もイジメもなかった、藩同士が塩の販売をめぐって争っていたわけでもなかった、さらには「討ち入り」の際、上野介は刀を振るって戦死していた等々、世の常識をくつがえす事実ばかり。かくして著者は結論づける―上野介こそ“被害者”だったのだ、と。
目次
第1章 刃傷・松の大廊下―事件の核心は闇のなか
第2章 吉良の系譜―上野介は名君だった
第3章 両者の出会い―“エリート”VS.“おぼっちゃま”
第4章 「遺恨」の実体―諸説の真偽を検証する
第5章 「城明け渡し」以後―内蔵助の迷いと吉良邸移転の謎
第6章 打ち入りの真相―上野介は“戦って”死んだ
吉良家のその後など―むすびにかえて
著者等紹介
岳真也[ガクシンヤ]
1947年、東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒、同大学院社会学研究科修了。66年、学生作家としてデビュー。現在、西武文理大学客員教授、法政大学講師
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感想・レビュー
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佐島楓
17
面白かった。著者が多数の資料を読み込んでいらっしゃることがよくわかる。時代や歌舞伎の演目の存在で異なった解釈が流布されてしまっているが、あえてそこに踏み込んで掘り下げる。ミステリの読み解きの楽しみのようであった。2013/09/23
トゥクトゥク
9
検証ものとして面白いけれど、思い入れの強さを感じるにつれ、少し白けてしまうところも。仕事の必要がなければ読まなかったジャンルだけに、こういう種類の本を読めたのは良かったが。2014/11/28
Hiroki Nishizumi
4
特記するような内容はなかった。昔、尾崎士郎の人生劇場に吉良上野介は名君であったと書いてあったこともあり、そんなに嫌いなキャラではない。徳川家と吉良家の確執について触れてないのは残念だった。2015/02/18
零戦隼人
3
やはり吉良上野介は悪者ではなかった。悪役にされただけ。2014/11/03
のる
3
地元庶民のために働き、信用も厚い吉良さん…。高家職トップとして誇りを持って仕事をこなしてきた彼が、こんな最後でしめくくりなんて。持病のあった浅野内匠頭の発作的な事件…と納得させられる。舞台やドラマ、映画の脚色で、世の中ほとんどの人に吉良さんは「意地悪なおじいさん」とうつってしまったけれど、これを塗り替える手立てはないものか??2013/01/16