内容説明
ユーモアと慈愛に包まれた至言の数々。心にしみこむ対話集。
目次
1 若者のこと、しがらみのこと、いまの日本のこと。(子どもの頃;家族のなかで;若者の感性;真剣かつ深刻;大地の力 ほか)
2 往復書簡「質問に答えてください」
3 仕事のこと、時代のこと、これからの二人のこと。(存在を認める;家族再考;ヒーリングの怖さ;大人になれない;「自己実現」の誤認 ほか)
対談を終えて
著者等紹介
河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年兵庫県生まれ。臨床心理学者・心理療法家。京都大学理学部数学科卒業。京都大学教育学博士。京都大学名誉教授。59年フルブライト留学生として渡米。その後、チューリッヒのユング研究所で学び、日本人初のユング派精神分析家の資格を獲得。心理学をはじめ、日本の古典文学や教育・社会問題など幅広い分野に提言・著作活動を行なっている。『河合隼雄著作集』をはじめ、著書多数。2002年文化庁長官就任
吉本ばなな[ヨシモトバナナ]
1964年東京都生まれ。作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。87年「キッチン」で海燕新人文学賞受賞。『TUGUMI』(山本周五郎賞)『アムリタ』(紫式部文学賞)『不倫と南米』(ドゥマゴ文学賞)など、著書多数
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
49
“(吉本)本って、やっぱりひとつの覚悟がないと読みはじめられない。でも、活字じゃないと癒やされないことが絶対にある。” しんどいんだけど、読み返したくなる本ってあるなあ。再読。河合先生と小川洋子さんのキャッチボール(対談)が双方立ったままであるのに対して、ばななさんとでは、河合先生は座ってフカフカのミットを構えどんな球でもどっしりと受けとめる印象だった。「ただ、聞く」ということの難しさ。つい、話の腰を折っていらんことを言ってしまう我が身を省みる。そして、やっぱり巻末の、ばななさんの言葉に、もう涙涙。2021/05/29
あちゃくん
18
河合さんとばななさんの慈しみ深く、なるほどと頷くことの多い対話。「そんなに能率よくするのが好きやったら、能率よく死ねと。うろちょろするのが好きだから生きてるわけでしょ。」「ふたつよいこと さてないものよ」「「治る」っていうときは、反対の力が大きくはたらくのが本当だから、すっごい気持よくて、ただ心地よくて治っちゃうということは絶対にない。」派手さはないけれど、自分が生きていくということを肯定し、下支えしてくれる言葉に出会えて良かったです。2013/09/09
ムーミン2号
7
河合隼雄、吉本ばななの二人の対談は、かれこれ17年くらい前のものだが、今の世相にも「なるほど」と当てはまるものがいっぱい詰め込まれている。若者のこと、そして親たちのこと、今の教育、さらには生きることについて語られていく。ユーモア溢れる対談だが、その内容は深く、また納得させられるものでもある。また、日本や日本人のいいところもたくさんあることも分かるし、生まれた土地や食べ物で人々が規定されることもよく分かる。ワタシはばなな作品は未読なので、今年中にはとにかく何かは読んでみたい。2019/01/02
bros
6
河合さんの話の聞き方が素敵だった。二人の対談を読んでますます、村上春樹対談が読みたくなった。吉本家のどうでもいい、雨戸のくだりがおかしかった。2015/03/17
一彩
3
『とかく日本には,おせっかいが多い。それは,「創造する」作業にとってすごくマイナス』 おせっかいが,人を助けることもあるが・・・ 確かに「創造する」ことにとっては・・・2015/02/07