内容説明
古くからの庶民の哀歓や願望、あるいは生活相や時代相がこめられてきた歌舞伎や浄瑠璃、謡曲、説経。庶民はこれらを観たり聴いたりして楽しみつつ、わが身を内省した。その中に示された子どもの自立や世代交替の葛藤、親子の断絶や別離等は、現代でも示唆に富んだ内容となっている。これら日本人の心性を形成してきた古典大衆芸能の中の親子像を検証し、父と子、母と子等、日本的親子関係を再考する。
目次
プロローグ 日本的親子関係をさぐる
1 中世に生きる親と子―自立と共存
2 中世から近世へ―小家族のまとまり
3 近世に現れた親子関係―世俗社会とのかかわり
4 江戸中期『忠臣蔵』前後―見直される親子関係
エピローグ 心性史と教育論