感想・レビュー
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ダーウィン、スペンサー、コントらを代表とする19世紀近代科学の飛躍的発展は、人類の進歩こそ歴史的必然の真理であるとの確信をアナーキズムに与えた。もしも歴史が人類の叡智を結集して進むものであれば、それは原理的可能性から現実的可能性に昇華できたであろう。吉田松陰の「至誠にして動かざるものは未だこれ有らざるなり」も真理たり得たろう。だが松陰が井伊大老を翻心させる、これは夢想であり、アナーキズムもこれと全く同じなのだ。クロポトキンはアナーキズムは科学的必然と穏やかに結論し、プルードンは革命成就は既定事項との筆致。2017/05/15