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出版社内容情報
自ら「実感による人類史学」と評したその学問は、今日その独創性ゆえに〈折口学〉と呼ばれる。ルビを付し、表記をひらがなにするなど、近寄りにくかった名著がぐんと身近になった。
目次
妣が国へ・常世へ―異郷意識の起伏
古代生活の研究―常世の国
琉球の宗教
水の女
若水の話
最古日本の女性生活の根底
髯篭の話
幣束から旗さし物へ
まといの話
だいがくの研究
信太妻の話
愛護若
餓鬼阿弥蘇生譚
小栗外伝(餓鬼阿弥蘇生譚の二)魂と姿との関係
翁の発生
ほうとうする話 祭の発生 その一
著者等紹介
折口信夫[オリクチシノブ]
1887~1953。国文学者、民俗学者、歌人、詩人。大阪生れ。歌人、詩人としては釈迢空を名のった。天王寺中学卒業後、国学院大学に進み、国学者三矢重松から深い恩顧を受けた。1919年国学院大学講師となり、のち教授として終生国学院の教職にあった。手がけた領域は多方面にわたり、そのいずれもが独創的な内容を持っている。民俗学的国文学、日本芸能史論の創始者であり、成し遂げた業績はのちに「折口学」と称される
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
25
「若水の話」にある「…古代信仰では死は穢れではなかった。死は死でなく、生のための静止期間であった。(131頁)」から、「餓鬼阿弥蘇生譚」で語られる土葬と蘇生の関係を前提とした穢れの観念への、思想の地殻変動はとても想像ができない。同様に、「妣が国へ・常世へ」の水平の世界から、「髯籠の話」のタテ方向の世界への変化の動きもドラスティックであり、長い期間がかかったのであろう。折口信夫は蝶のよう舞い、蜂のよう刺すひらめきの論説で驚かせるが、大量の接続詞を読み手に補わさせる労苦を味わさせる。2018/01/11
マーブル
6
本書は「祭りの発生」と題し関連する論文等をまとめたものである。書かれた年代、初出の雑誌など様々で、その辺りも統一性というところでは多少弱い部分がある。祭りの起源、そこで使われる言葉の意味、使われる道具や演芸の成り立ちなど、語られる事は膨大であり、とても全てを理解の上読み進むなど叶わない。それでも地元で行われる祭りの様子なども、これまでとは違った目で見ることができるような気にさせてくれる。我が県土に残る風習「スネカ」やお隣りの県の「なまはげ」なども、その起源について思いを巡らせながら見直すのも面白そうだ。 2019/01/20
肉欲棒太郎
3
『最古日本の女性生活の根底』の「いくさ」や結婚についての考察が面白かった。『若水の話』で触れられている「すでる」という語についての考察を読むと、折口が小説『死者の書』を書いたモチーフがおぼろげながら分かってくる。2015/12/31
こずえ
1
祭りがどう発生したか丁寧にかかれている。ちなみに著者の折口氏は毎年京大で像がたてられるあの方
草津仁秋斗
0
折口の様々な論をまとめたもの。信憑性には欠けるが、折口の説はとにかく独創的で面白い。ただ、文章が読みにくいので、時間をかけて読むべし。2014/04/23