内容説明
高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った…。「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった―。
目次
序章 冬の日
第1章 一緒に―西へ
第2章 腕の温もり
第3章 鳥取砂丘
第4章 富士山
第5章 夏の海辺、死の影
第6章 鈴の音
終章 喪の時
著者等紹介
清水久典[シミズヒサノリ]
1947(昭和22)年、石川県生れ。中学卒業後、’63年から縫製会社に勤務。以後、高度成長期を縫製業一筋に生きる。やがて、自分の工場も経営するようになるが、中国製の安価な製品におされて経営は傾き、借金を背負う
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