内容説明
18歳のマンボウ氏は、バンカラとカンゲキの旧制高校生活で何を考えたか―。個性的な教師たちと大胆不敵な生徒たちが生み出す、独特の元気と喧騒に身をまかせながら、ひそかに文学への夢を紡いでいったかけがえのない日々は、時を経てなお輝き続ける。爆笑を呼ぶユーモア、心にしみいる抒情、当時の日記や詩を公開、若き日のマンボウ氏がいっぱいにつまった、永遠の青春の記録。
目次
珍しく沈んだ書きだし
初めに空腹ありき
教師からして変である
小さき疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドランク)
瘋癲寮の終末
役立たずの日記のこと
銅の時代
医学部というところ
もの書きを志す
いよいよものを書きだす
遊びと死について
酒と試験について
学問と愛について
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
424
北杜夫が主に松本高校時代+東北大学時代、作家活動を始めた頃の思い出を語る青春期。『航海記』に比べると構成意識、文体ともに読者に向けてというよりは自身の確認のために書いている印象。39歳の時のものだが、青春はもはや遥か彼方であるかのよう。年齢の割には老成しているというか、爺むさいというか。それでも穂高連峰を仰ぎ見ながら過ごした破天荒な旧制松本高校のエピソードの数々は面白い。私たちが体験しようもなかった時代の雰囲気が青春の躍動感を伴って語られる。同窓生たちも実にユニークな人たちばかり。羨望を禁じ得ない。2022/11/10
おしゃべりメガネ
135
う〜ん、なんとか読み切りました。正直、無理やり?読了した感じです。単純にハマらなかったんでしょうね〜。書かれてる時代背景とかに馴染めなかったのが最大の要因かなと。もっとまっさらなキモチで純粋に楽しめたら良かったのでしょうが、なんとなくただサラサラと読んでしまい、気がついたら自分にはあまり残るモノがなく終了です。もっと笑える場面がきっとあったのかもしれませんが、たぶん自分のツボにはストライクにならず。また機会をみて他の作品を読んでみたら、ちょっと印象変わるかなと。もう少しハマれるかと思ってましたが残念です。2020/09/19
青乃108号
130
俺がまだ高校生だった頃に、6つ違いの兄がやはり高校生の時に読んでいた本書を拝借して読んだ。これが当時の俺にも存外に面白く、繰り返し読んでいた記憶がある。ふと当時が懐かしくなり数十年振りに読み直してみた。終戦直後に中学生だった著者の高校生時代、大学の医学部時代を経て作家を志すまでがユーモアを交えて面白おかしく書いてある。今読んでも十分面白い。文体は異なるがセンスは筒井康隆や町田康に通じる物があり俺はこういう書き方が昔から好きだったのだなと改めて思った。他の著作も読んでみよう。 2022/10/24
ehirano1
128
これは最高!毒舌、ユーモラス、ドストレートに思いのたけをぶちまける日記にはなぜか共感すら覚え、なんだか懐かしくも感じました。青春期のエネルギーってこんなに凄かったんだって50の齢になって思い知らされる一方で、老年期のエネルギーは何だろうかと思索にふけりたくなります。2022/11/03
さと
84
齋藤孝氏の「読書力」にあったお薦めの100冊から。大学で教鞭を執っていた伯父が以前、共通一次試験が出来てから個性的な学生が減ったと言っていたのを思い出した。戦争という大事にあって青少年の教育どころではなかった時代だけに自分たちで生きる道を模索せざるを得なかった。しかしその若さというエネルギーが個々を鍛え人間の本質を見抜く力を与えてくれたのだろう。『大学というところは学問へのきっかけを作る場所である。少なくともその雰囲気に触れ、生半可な学問と真の学問との区別くらいを覚えるところである』だそうだ。2015/05/28