講談社学術文庫
主君「押込」の構造―近世大名と家臣団

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  • サイズ 文庫判/ページ数 314p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061597853
  • NDC分類 210.5
  • Cコード C0121

内容説明

「御身持宜しからず御慎しみあるべし」―主君の悪政・不行跡に対して家臣団が執る最後の手段「押込」。君臣間の上下秩序が絶対の近世武家社会において、遊蕩・大酒あるいは専制に走る主君は、家臣にとって憂慮すべき存在であった。御家の永遠性への忠義からなされる主君強制隠居の内談、実行、幕府側の処置の論理など、主君廃立の隠された慣行を明らかにする。

目次

第1章 阿波蜂須賀家の君臣抗争(蜂須賀家の政治体制;諌言;呪詛;押込;幕命)
第2章 諸大名家の「押込」事件(宝暦年間の三つの「押込」事件;主君「押込」慣行の形成)
第3章 「押込」慣行の構造(主君「押込」慣行の形式;主君「押込」慣行と近世的秩序)
第4章 近世の国制(主従制と身分階層制;近世官僚制と政治的意思決定の構造;近世の封禄制と地方知行制;君臣秩序とその思想)

著者等紹介

笠谷和比古[カサヤカズヒコ]
1949年生。京都大学文学部卒業。文学博士。国際日本文化研究センター教授。専攻、日本近世史・武家社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

25
「押込」とは中世から近世の武家社会において、権力を持っているはずの主君が忠義を持っているはずの家臣から監禁され強制的に隠居させられることで形式的な統治から排除されることをいいます。興味深いのは①ボンクラなだけでなく切れ者の主君もターゲットになっていた、②クーデターのように露見せず、統治機構を変えることもない、③それゆえ血統主義は強化される、という点です。リーダーの権力の弱いボトムアップ型の如何にも日本的な権力構造の表れだとみることができますが、彼らが弱い権力を担がなければならないのは、実質的な権力と形式的2020/11/04

耳クソ

17
良い本です。もしかしたら第四章から読んでみるのもありかもしれません。2022/10/19

伊達者

1
元本の平凡社選書で読んだ。大名家における統治機構や主君関係を政治思想面を含めて分析検討した本。大名は臣下特に重臣層との間で「押込」される可能性を秘めた緊張関係があったことを具体事例の分析を通じて明らかにした本である。地元の伊達騒動が一つの画期となっているということで興味も増す。2023/04/25

けんし

1
幕藩体制の近世への移行の流れの中で押込が一般的慣行として是認されてきた。義とは何か、職分観、忠義とは典型的な当時の武士階級の考え方が現れている。2020/06/28

おかポン

1
例え有能な主君であっても、周囲の同調が高まれば押込られてしまう日本独特の「押込」を通して、日本人の考える「組織の在り方」すら考えさせられた一冊。2013/12/23

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