講談社学術文庫
渤海国―東アジア古代王国の使者たち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 316p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061596535
  • NDC分類 222.5
  • Cコード C0121

内容説明

七世紀末、中国東北部・高句麗の故地に建国された渤海は、奈良・平安時代を通じて三十四回も日本に使節を派遣した。当初、唐や新羅に対する軍事上の連携から始まった交流は、北方産の毛皮と日本の絹などとの交易が主体となり、華麗な宮廷外交を展開。菅原道真と漢詩の応酬をした大使父子も登場した。二百年の交流の実像に、最新の研究をふまえ迫る。

目次

プロローグ 知られざる東アジアの古代王国
第1章 渤海国の素描
第2章 渤海国からの使者
第3章 毛皮と繊維の交易
第4章 華麗なる宮廷外交の展開
第5章 船は季節風に乗って
第6章 急がばまわれの渤海路
エピローグ 渤海国の謎

著者等紹介

上田雄[ウエダタケシ]
1931年神戸市生まれ。神戸大学文理学部文科日本史学科、法政大学文学部地理学科(通信課程)卒業。高等学校教諭、(財)阪急学園・池田文庫学芸員をつとめる。現在、石川県富来町渤海国交流研究センター主席研究員。日本海事史学会地方理事
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koning

23
奈良から平安にかけて遣唐使とほぼ同じ頃に渤海使とかの国との緊密な交流があったのに名前ぐらいしか覚えられていないのはなんで?というのを門外漢にも分かりやすく書いてくれててありがたい本。だが、冒頭の注意書きにある通り何せ旧満州南部、北朝鮮北部、沿海州と現在では3カ国に跨がる地域の上に渤海の民族構成はどうよ?で中共と半島が主導権争いをしてみたり、例の日本海を自分の所のローカルネームにしたがってるなんてことが書かれてて、この本が出た2004年の著者の危惧は現実的にやばそーなところに来てて悲しくなる(続2014/11/21

karatte

16
古書店にて半額セールで購入。なんとなくハザール王国を念頭に置いて読んでみた。契丹に滅ぼされた際に徹底的な破壊を受けたため、当時の資料に乏しい古代王国・渤海。それが200年ほどの歴史の中で奈良・平安朝期の本邦とも積極的に交易を行っていたことなど今の今まで知らずにいたし、第一この本には初見の記載が目白押しだ。何せ最も勉学に勤しむであろう学生の時分ですら、渤海の歴史など教科書のほんの数行で片付けられていたのだから。遣唐使廃止後には日本の唯一の交易国になっていたこの国に関して知ることは、古代日本の理解にも繋がる。2015/11/08

はちめ

9
再読。初読の時のなんとなく面白かった記憶があったが、予想以上に面白かった。渤海国が軽視されているのは、歴史上200年間だけ存在しその後再生されることのなかった国家の枠組みだからだろうが、少なくとも7世紀末から9世紀末までの日本には極めて大きな影響を与えている。日本海側から渤海国を経由しての唐との関係はもっと注目されるべきであろう。☆☆☆☆★2019/08/10

Tmont

4
高校時代、世界史好きだった私にとり、渤海国は記憶に残る。長年、渤海国とは何かと思ってきたが、調べる気もなく年月が経過。そして本書を手に取る。本書は正確には「渤海史」より日本史のウェイトが大きいが、渤海とは何かという問いの答えには十分。 渤海国はなぜ謎になったのか。おそらく近代ナショナリズムの犠牲だ。渤海国を朝鮮民族の歴史とするのも、漢民族の歴史とするのもどちらもナンセンスなのは明らかだからだ。 渤海国は渤海国であり、現代の国史から遡ることは無意味だ。けれど、渤海国が日本史に与える影響は評価されて然るべき。2012/12/16

紫砂茶壺

3
書名の通り渤海国史を扱った本かと思いきや、大半が日本渤海王朝交流史ともいうべき本で、奈良平安朝の日本が密に交流を持っていたのが実は渤海であったということが丹念に検証されている。学校教育ではその名前を撫でるくらいにしか教えられておらず存在感のない渤海であるのだが、遣唐使がわざわざ渤海経由で入唐していたり、唐の高官になっていた阿倍仲麻呂が長安に滞在中の渤海使に日本までの信を託したりと、知らないことが多く記載されていて非常に面白かった。2016/02/15

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