内容説明
奇書『さかしま』を経て、錬金術、薔薇十字、悪魔礼拝に傾斜。その後カトリックに回心、『出発』『大伽藍』へと至った19世紀末の仏作家ユイスマンス「謎の人生」を、膨大な「書簡・日記」を駆使して再現した、世界初の画期的評伝。
目次
見捨てられた子供
恋する学生
気ままな兵士
波瀾の新人作家―『薬味箱』『マルト ある娼婦の物語』
ゾラの弟子―『ヴァタール姉妹』
戦うジャーナリスト―「背嚢をしょって」『パリ・スケッチ』
筋金入りのペシミスト―『世帯』『流れのままに』
稀代の美術批評家―『近代芸術』
デカダンス運動の火付人―『さかしま』
田舎嫌いの田舎の住人―『仮泊』〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
4
ついに読みました。ユイスマンスを研究する上でまずは読んでおかないといけない、最重要の伝記。オックスフォードの仏文研究てレベル高いんですね、フランス人でなくイギリス人が決定版とも思える伝記を書いていることが凄い。ちなみは訳は仏訳からの訳。まあそれは当然の選択でしょう。訳者も美学の人で卒論でさかしまをやったらしい(しかも当時はまだ訳がなかった)、60年ぐらい前によくやったものです。偉大な先達たちに負けないように努力したいと改めて思わされる本。もっとも専門外の人が読んでもそんなに面白いものではないですよ。2012/04/07