岩波現代文庫
本当に生きるための哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 228p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030933
  • NDC分類 104
  • Cコード C0112

出版社内容情報

「本当に生きる」ということを,幸福とも言い換えたギリシャの哲学者たち.その言葉と生き方を紹介しながら,死とは,私の存在とは,自由とは何かについて思索をめぐらせる.対話による知の探求への扉をひらく一冊.

内容説明

「本当に生きる」ということを、幸福とも言い換えたギリシアの哲学者たち。その言葉と生き方を紹介しながら、死とは、私の存在とは、自由とは何かについて思索をめぐらせる。日常の生活の場面をおりまぜ語るその語り口は、ギリシアの哲人たちが対話により知の探求を行なったように、対話への扉をひらくメッセージともいえる。

目次

複雑な人・ソクラテス
宗教と哲学・神の声
宗教と哲学・殉教
自然・移り行くもの
自然・よい生き方
私・大事なもの
私・重い実感
私・連続するもの
私・自由
私・本当の望み
誤り・ディアレゲスタイ
飛躍・「魔ざし」現象

著者等紹介

左近司祥子[サコンジサチコ]
1938年、東京都に生まれる。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程満期中退。東京大学助手を経て、現在、学習院大学文学部哲学科教授。ギリシア哲学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナーキー靴下

82
とても良かった。著者は私の好きな左近司先生で、1990年前期学習院講座での講演をもとに書かれているとのこと。パラドクスの塊のようなソクラテスを軸に、「本当に生きる」思索を語ってくれているのだが、日常での例え話がふんだんで、わかりやすく面白い。読んでいる間は心に留め置きたい言葉がいくつも出てきたけれど、今それをここに書いてしまったら、私の中では何も「迂回」しないまま、受け入れてしまうだけになってしまう。何度も読み直して、自分でも考え続けていきたい。図書館にないので購入したけれど、買って本当に良かった。2022/04/09

いちろく

30
紹介していただいた本。自分が受けた教養の哲学の授業はどうだったかな?本を指定されてレポートを提出して終わりだった気がする。90年学習院前期の講座内容を纒めた1冊。物事にも様々な見方がある。当たり前だけれど忘れがちな事を思い出させてくれる内容に夢中に。あと、こんなに笑った哲学の入門書は初めてかもしれない。ドラマの中で、好きでも無い金持ちの男の所に嫁ぐ女性の心理状態を解説した行は、唖然としつつお腹を抱えましたよ。こんな素敵な授業を学生の時に受講出来たら、生き方の視野を広げるキッカケになるはず。羨ましい。2016/10/07

i-miya

22
2010.05.09  1994.01 学校法人学習院。 第1章 複雑な人ソクラテス。 醜男を売り文句にしたソクラテス。ラファエロもわざと醜く描くソクラテス。美の国ギリシャ。後継者の派閥(1)キュニコス派。(2)キュレネ派。(1)キュニコス派。キュオン=犬、野良犬。頭陀袋ひとつと寝る樽さえあればなにものにもとらわれない生活が送れる。=禁欲主義的。(2)キュレネ派=快楽主義者。ほしいものを手に入れ楽しむ。相反する二派。第2章 宗教と哲学・神の声。 2010/05/10

ヒダン

13
講演を元に書かれた口語調の平易な文で「本当に生きる」=「幸せである」ための哲学をギリシア哲学、特にソクラテスを引き合いに出して語る。キーワードは「迂回」。哲学とは結果でなく迂回を愛でること。話題の進め方がとにかく上手い。先哲の遺した言葉をその場面を描写して物語のように紹介しながら、あるあると頷ける例を出してその説の正しさを補強しつつ、それでも本当にそうなのかと疑問を提示して確かなことだけを残して話題が変わっていく。本当に書きたいことは実は最後の数ページに凝縮されている。でもそれまでの迂回こそが大事なのだ。2015/09/13

Foufou

8
私にとって本との出会いは人とのそれと等価である。脱サラして「縁」なるものに目覚めてから、些細な出会いも蔑ろにできない境地である。読書もままならぬ繁忙期に拾い読むうち、壮年にかかった私の問題系が炙り出され、深い感動のうちに書物は閉じられた。哲学とは、実感を伴わなければ空疎を祀る伽藍堂に過ぎない。人と繋がることの意味を、これほど平易に、そして説得的に語った本を私は知らない。飛躍こそは本当に生きることだと筆者は言う。eu prattomen! 「本当に善く生きましょうね、私たちは」ソクラテス最期のことばである。2021/02/27

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