出版社内容情報
近年,各地で急速な広がりを見せている住民投票.地域の問題は自分たちで決めようと始まったその動きは,壁をどう乗り越えて実施にこぎつけたのか.現場の人びとの声を伝えながら,住民投票が政治をどう変えてゆけるかを問う.
内容説明
巻町、沖縄県、御嵩町、名護市、徳島市をはじめ、近年、全国各地で住民投票運動が急速な広がりを見せている。地域の重要な問題は自分たちで決めようと始まったその動きは、立ち塞がる障壁をどう乗り越え、実施にこぎつけたのか。住民投票の現場をくまなく歩いてきた著者が、市民自治の実現へ向けて奮闘してきた人々の声を丹念に伝える。
目次
1 住民投票とは何か(選挙と住民投票;さまざまな住民投票;どうすれば住民投票を実施できるのか)
2 実践する主権者(巻町以前―住民投票への胎動;新潟県巻町―原発拒否への長い道のり;岐阜県御嵩町―暴力に立ち向かった人々 ほか)
3 住民投票のこれから(住民投票の意義はどこにあるか;住民投票の法制化へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
10
著者の今井さんたちと「政治」についてのオンライン読書会をやったというか、今井さんが主催された読書会に参加した。読んだのは、辻清明や高畠通敏、松下圭一と言った市民派の政治学者の本だったけれど、昨今の自民党のように多数派であることに胡座をかき国会を軽視するのならば間接民主制は全くダメと言うことになる。そこでこの本を読み返した。衆愚などにならずにしっかり直接民主制を実現することが可能だなあと実感した。真の民主主義を実現したい。2021/10/13
takeapple
6
住民投票についての歴史と現状、課題についての丁寧な取材によるレポート。民主主義について考えるための必読書だと思う。観客民主主義とは言い得て妙。2015/01/14
うさこ
4
住民投票を行うことによって本来の民主主義のあり方を問う。住民投票を行う過程で嫌がらせや脅しもあるようだが、それを乗り越えて実現できるとは実行委員の勇気と努力をたたえたい。沖縄のアメリカ軍基地問題、原発問題・・国内の大きな問題も何一つ改善されないままこの状態で行ってしまうのか・・・日本の永田町に居る政治家は自己保身の塊のように感じる。2013/09/30
ハンギ
1
住民投票は直接請求として有権者の50分の1の署名を集め議会に提出し、議会の判断で実際投票されるかどうかが決まり、そして実際の投票が行われて、住民の賛成もしくは反対の判断を示しても首長はその判断に拒否をする権利を持つ。実際はこれ以上にもっと大変な道のりだと思うが、実際には原発設置や産廃問題、沖縄基地問題などに実際に運用され民意を確かめる方法としては確立されつつあるようだ。実際の投票は公職選挙法に照らし合わせられる必要がないため、かなり柔軟に投票を行うことが出来る。現状を変えられる可能性を持つ制度。2012/02/05
東山ききん☆
0
住民投票に関する本。各都市の住民投票への取り組みがジャーナリズム溢れる筆致で描写されている。特にエゲツない部分もありややショッキング。2020/07/31