岩波文庫
人間の絆〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 433p
  • 商品コード 9784003225462
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

自分は読者を楽しませる一介のストーリー・テラーだとうそぶいたモーム(1874-1965).その数ある作品の中でも,唯一自分自身のために書いた精神的半自伝小説が『人間の絆』である.モームの最高傑作の待望の新訳.(全3冊)

内容説明

自分は読者を楽しませる一介のストーリー・テラーだと言って憚らなかったモームが、唯一自分自身のために書いた精神的半自伝小説。不自由な足ゆえに劣等感に苛まれ続けるフィリップに、自らの精神形成を託して描いた人生遍歴の物語。新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ykmmr (^_^)

140
主人公は『エビ足』という身体障害を持ち、それにより虐めや差別を受ける。更には、早くに両親を亡くして叔父夫婦に育てられる。上巻はそんな彼の、幼少期〜青年期のお話。成績優秀でありながら、若干、自意識過剰。それでいてまだ若さもあり、人に流されつつ、人生の在り方に悩んでいる。クロンショー老人には救われるものの、牧師の勉強をしながら、人間の不可解・宗教の矛盾に気付き悩む。それにしても、『エビ足』という状態。初めて知った。介護職なのに…。2023/01/20

のっち♬

128
幼くして両親を亡くしたフィリップは牧師の叔父に育てられる。著者の魂の遍歴が色濃く投影された半自伝的小説で、どもりは足の障害に置き換えられている。周囲に嘲笑の的にされる劣等感の生々しい描写は上巻の読みどころで、彼の育んだ強い承認欲求や傲慢さ、不信に満ちた人間観や冷静な観察眼などの重要な根源と言える。そして信仰を捨てた彼は「新しい環境と新しい考えを持つ人」の元で自分を見出してゆく。詩人クロンショーとの"人生とは何か"をめぐる哲学的議論は本作最大のテーマ。「ねえ、きみ、抽象的な道徳なんてものは、ありゃしないぜ」2018/07/29

扉のこちら側

80
2016年724冊め。【205-1/G1000】足の不自由な少年が親に先立たれ親戚の貢献で入学した寄宿学校ではいじめに遭い、とあまり幸せな展開ではないのに、悲壮さがないのは読みやすい文体故か。フィリップ少年は少年期故の自意識過剰だったり他者との距離感を測りそこねたりと、教養小説らしい一定の共感を得やすい青春を送る。性への目覚めとか。中巻へ。2016/09/15

NAO

64
両親と死に別れ子どもに愛情を持たない叔父夫婦に引き取られたこと。自分の不自由な足に強いコンプレックスを持っているため、人付き合いがひどく苦手だったこと。いろいろな不遇の中で、フィリップは世界を広げながら成長していく。平易な文章で読みやすいのだが、読みやすいのに、なかなか読み進むことができなかった。中巻に入ったら、印象が変わるだろうか。2017/07/09

みっぴー

49
サマセット・モーム(1874‐1965)両親共にイギリス人。裕福な家庭で育ったが、モームが十歳のときに父が癌で亡くなり、孤児となる。やがて厳格な叔父の元へ引き取られるが、学校では吃音のためいじめられ、孤独で不安な生活を送る。『人間の絆』はモームの自伝的小説です。主人公フィリップはえび足という障害のため、片足を引きずって歩き、必ずと言っていいほどいじめの対象にされます。聖職に就くために入った学校で信仰を失い、絵描きを目指してパリへ旅立ちます…どんな運命が待ち受けているのか、中巻へ進みます。2016/04/12

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