出版社内容情報
2千年前に,こんなにも生き生きとした思想家がいた! 人生,貧困,死など,誰もが一度は突き当たるテーマをとりあげ,真に自由に生きることを説くセネカ.その文章は無類の魅力をもち,悩める人を力強く励ます.今まで日本ではあまり知られていなかったセネカの世界を,中野孝次が一挙に書き下ろす,現代人のためのセネカ入門.
内容説明
人生、貧困、死など、誰もが突き当たるテーマを取り上げ、真に自由に生きることを説くセネカ。その文章は、無類の魅力を持ち、悩める人を力強く励ます。独自の訳と解釈による、現代人のためのセネカ案内。
目次
序―セネカ略伝
「マルキアへの慰め」
「人生の短さについて」
「道徳についてのルキリウスへの手紙」
「ヘルヴィアへの慰め」
「幸福な人生について」
「心の落着きについて」
「閑暇について」
「神意について」
おわりに―現代人にとってセネカとは何か?
著者等紹介
中野孝次[ナカノコウジ]
1925年千葉県生まれ。東京大学文学部独文科卒。国学院大学教授を経て、作家活動に入る
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
18
セネカ読まなきゃ2015/11/04
著者の生き様を学ぶ庵さん
18
何かに絶望したとき、魂の救済のために読む書。「自分を全肯定することができるようになったとき、人は全き善に達し、真の幸福に至る」という末尾の一文が全てを語る。普段読んでも、「当たり前過ぎる」としか思えないが、肉親や自らの死と向き合う時に本著を読めば、いかに良い終末を迎えるかを真剣に考えることは必定。セネカ語録だけでなく、論語、道元の正法眼蔵、モンテーニュのエセー、徒然草、浄土三部経、本阿弥光悦まで引用し、「真理に古今東西の差はない」との考えは独特で良いが、グルメ番組や旅行を好む大衆を侮蔑する愚民観は不要。2015/09/28
ふらん
17
「善き行為、正しき行為はそれ自身の中に喜びがあるから(評価されなくても)欲求不満にはならない」など、励まされる言葉が数多のセネカ。おいらの心の師。2000年前に人間の心の営みを看破。…ただセネカの言葉を何でも現代日本の問題点に当てはめ、嘆く解説者の文章はちょっと鼻に付く。2015/12/08
はなよ
9
セネカの全集が手に入りづらいので、せめて抄訳だけでもと思い購入。抜粋された文章も読みやすく、ためになるのだけど、いかんせん作者の主観が偏っている。セネカは禁欲主義であるストア派に属していたが、快楽主義のエピクロス派の教えも、それがためになるものならどんどん受け入れていた。一方作者は、現代の文明が作り出した便利な道具、とりわけインターネットや携帯電話などを全否定し、若者からこれらを取り上げろというのだ。これでは、セネカの柔軟性を理解しているとは言い難く、自身の理想を押し付けるような(続く) 2017/10/05
水無月
7
セネカの文章を抜粋して、著者の価値観や世相に合わせて噛み砕いて解釈をしてくれるので、うっかり本文読まなくても解ったから良いか、みたいな気持ちになるくらい解説が易しい。岩波文庫版等が難しい、合わないと感じる人は、こちらや光文社文庫等を読んでからの方が理解しやすいと思う。ただし本書で主に語られているのはセネカの言葉というより著者の見解である。2019/11/17